あすなら塾公開講座 福祉編
人は誰でも老いる 介護は愛情より根性より知識
あすなら塾公開講座福祉編(主催:福祉・子育て政策協議会)を、1月16日(土)ならコープ本部会議室とオンラインで開、50人が参加しました。
「人は誰でも老いる 介護は愛情より根性より知識~予防より備えー利用者や家族が知っておきたい『生協10の基本ケア』~」を、大阪健康福祉短期大学付属福祉実践研究センター長、(社福)協同福祉会理事である川口啓子氏から学びました。冒頭にご自身の介護体験から「介護は愛情と根性だけではつぶれます。知識があったら乗り切れます。予防も大事ですがまずは備え。それには知識が必要です」と話され、講演を始められました。
1.換気をする 2.床に足をつけて座る 3.トイレに座る 4.あたたかい食事をする 5.家庭浴に入る 6.座って会話をする 7.町内におでかけをする 8.夢中になれることをする 9.ケア会議をする-ケア会議には専門家・利用者・家族も参加する。家族のための会議にならないようにする 10.ターミナルケアをする-施設入所をせず自宅で最期を迎えるための生活再建に取り組む
人はみんな歳をとる、誰だって歳をとる
人生100年時代。長生きすればみんな弱ります。65歳から75歳の半数がフレイル(虚弱)または半フレイルの状態です。活動量が低下すると⇒筋力低下⇒エネルギー消費量低下⇒低栄養⇒体重減少⇒身体機能が低下となり、この循環が要介護へとなります。どうしたら活動量を低下させないかが大事です。
「自宅で暮らす」権利を守ることって?
「どこでどのような介護を受けたいか?」をアンケートすると、約7割が「自宅で最期までがいい」と回答。しかし、現状は77%以上が病院死。高齢の単身世帯、夫婦のみ世帯が増え、家族に介護を求めても家族がいません。自宅で最期までを実現するには、どうすれば「自宅で暮らす」権利を守るかです。在宅介護=家族介護ではなく、“with支援で自立すること”です。with支援とは介護を受ける権利です。介護保険を使って重度化を予防し、そして主体的に生きるために「生協10の基本ケア」を知り、くらしの中で実践することです。
生協10の基本ケアは協同福祉会から誕生
「生協10の基本ケア」とは、ならコープの組合員によってつくられた(社福)協同福祉会から誕生しました。1999年に開設された特別養護老人ホームあすなら苑は、「オムツ外し」を実践して要介護度を改善したことが有名です。設立10年のとき、それまでの実践を「10の基本ケア」にまとめられました。「尊厳を護る・自立を支援・在宅を支援」を大事にするケアです。「1.換気する、2.床に足をつけて座る…」は、すごく当たり前のことで普段の生活でできます。このケアを、2018年に日本生協連と協同福祉会が連携・協同して「生協10の基本ケア」として発表しました。協同福祉会から全国へ。介護職員向けに研修が行われていますが、私は組合員にこそこのケアを広めることが必要だと思います。
高齢期前から考えても早すぎない「私が主役」の自立支援、在宅支援
「自分が住んでいた家に最期まで住む」というのは当然の権利です。「10の基本ケア」はこれを実現するスキルです。自宅で最期を迎えられるよう、高齢期前から考えても早すぎることはありません。超高齢化社会は「無縁社会をつくるな」というアラームです。誰が介護を担うのか、どんな介護を受けたいかを要介護の高齢者と介護職員だけが考えるのではなく、今あるつながりを続ける、なくさないこと、ちょっとした介護マインドをもつことが大切です。組合員のみなさんは、“食の安心安全”を生協の合言葉にしてきたように、「10の基本ケア」を介護の合言葉にして、みんなが普段のくらしの中に取り入れられるよう地域で広めていきましょう。