あをがき10月号特集「ならの元気は吉野から 吉野共生プロジェクト その2」で紹介している取り組みについて、インタビュー全文を本頁で紹介しています。

 「吉野共生プロジェクト」については、こちらをご覧ください。

 

【レポート】村民による村民のための事業活動 一般社団法人 かわかみらいふ 専務理事 竹内満春氏
【レポート】村民による村民のための事業活動 配達先にて

●人口減の村を「誰もが安心して住み続けられる村」に

 奈良県吉野郡川上村は奈良県の南東部に位置し、面積の97%が山林で人口は約1300人、高齢化率が57%という過疎の村です。若者世代の進学・就職時による転出のほか、都市部に住む子どもからの呼び寄せによる高齢者の転出が多いことも、社会問題の一つとなっています。こうした要因分析を役場若手職員が自主勉強会で把握し、都市部からの若者移住よりも、まずは誰もが安心して住み続けられる定住の仕組みづくりを目的として「一般社団法かわかみらいふ」構想が立案され、村外の民間企業や各種団体、金融機関や行政等が関わり2016年に設立しました。

 ならコープの宅配事業のほか、お買い物支援として、地元スーパーと協業して移動スーパー事業や、村内唯一のガソリンスタンドの経営も行っています。拠点施設では復活した子ども会活動の支援や交流カフェ、住民サークル活動の運営支援など、地域活動にも積極的に参加し、住民との交流の場づくりを行っています。


【レポート】村民による村民のための事業活動 移動スーパー

●付加価値のある「楽しい暮らし」を目指して

 特徴的な取り組みとして、移動スーパーには看護師と歯科衛生士が同行し、お買い物に来る住民の健康チェックや生活相談、食生活のアドバイスを行っています。食材の提供だけで終わらず、美味しく食べることが日々の健康につながる「口は健康の入り口」の考え方を身近に実践したものです。改めて検診や相談日を設け、わざわざ出向くことになれば住民はそれだけでおっくうになります。お買い物のついでに血圧測定や健康相談も気軽にできる関係を築くことで、病気の早期発見・早期治療に繋がり、それが地域の医療費の削減にも繋がっています。単なる営利事業ではなく、こうした暮らしに付加価値があることが協働・協業している民間企業の企業価値を高めることにもなると考えています。

 お困りごとの大きな方への支援を拡充し、誰も置いてきぼりにしない地域づくりが定住、そして移住につながり、居心地と住み心地を整えることになります。

【レポート】村民による村民のための事業活動 救急救命訓練


 直近では、地元消防署の協力を得て、もしもの時の救急や急病対応にも積極的に関わっています。スタッフ全員が救命講習を受講し、すべての車両にはAEDを搭載しました。さらに救急救命指導資格も取得し、かわかみらいふが住民や事業所さんにその活動を広める役割を担っています。まさしく私達の地域は私達が守る活動です。至れり尽くせりではなく、一人ひとりの生きがいと役割づくりもかわかみらいふの大切な仕事でもあります。

 地域でお買い物をすることで地域の中でお金が回り、それが生活支援につながる仕組みの「見える化」にもこだわっています。日々のお買い物は、一人ひとりが関わる地域づくり活動という大切な仕事でもあります。これからも高い安いたけではない、付加価値のある楽しい暮らしを村民の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。




<リンク集>
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一般社団法人 かわかみらいふ

川上村 WEBサイト