【レポート】吉野の源水が育む商品と雇用
あをがき10月号特集「ならの元気は吉野から 吉野共生プロジェクト その2」で紹介している取り組みについて、インタビュー全文を本頁で紹介しています。
「吉野共生プロジェクト」については、こちらをご覧ください。
●吉野事業所で生まれる雇用
吉野事業所は就労継続支援A型事業所[1]として、2016年にならコープ100%出資子会社の㈱ハートフルコープよしのによる運営が始まりました。吉野の豊かな水資源である湧水を利用した「奈良 桜よしの天然水」の宅配水事業と、その天然水を利用した水耕栽培事業を担っています。当時は、たった2人のフレンドリー社員[2]の就労の場でしたが、現在では大きく事業を拡げることができました。2017年10月には田原本事業所の運営が始まり、ならコープでの配達に使用する蓄冷材の洗浄や物流の支援、そして資源リサイクル作業などに携わり、2018年9月には店舗業務の一部を担うようになりました。また、社員も増え、2020年8月現在で45人ものフレンドリー社員が活躍しています。
吉野事業所では吉野町とも連携しながら雇用創出に取り組み、「奈良 桜よしの天然水」は吉野の湧水を使用しているので、町内イベントなどでウォーターサーバーを展示して水を味わっていただくなど、機会は少ないですが事業だけでなく地域との関わりも深めています。
[1] 就労支援A型事業所…「障害者総合支援法」に基づき、一般企業への就職が難しい障がい者に就労機会を提供し、生産活動を通してその知識と能力の向上に必要な訓練を行うことで、一般就労を目指した障がい福祉サービスを供与することを目的とした、県から認可を受けた事業所。
[2] フレンドリー社員…知的、精神、身体のいずれか、または複合の障がいを持つ社員。
●一人ひとりに寄り添ったサポートを
皆が性格に差があるのと同じで、障がいの特性、つまり得手・不得手は個々に差があります。どう安定して元気に仕事に来てもらえるかを工夫しつつ、指導員が一人ひとりに寄り添いながら仕事を覚えていけるようサポートをしています。そのサポートは主に、働く中での悩みを聴く時間をしっかり持つということこと。「個別支援計画書」を作成し支援していくことは行政でも定められていることですが、吉野事業所ではなく、田原本事業所や店舗業務に携わる社員に関しても、現場の指導員に聞き取りをしながら進捗を確認しています。
私たちの一番の願いは、一人でも多くの社員が働く力をつけて一般就労しステップアップができることです。現在、人手不足の問題はならコープをはじめ多くの職場で抱えています。働く社員の皆さんが、ここでの仕事の達成感を次に繋げ、一般就労ができれば障がい者のステップアップと、世間の課題でもある人材確保の両方が叶う場になると思っています。
いま、行政では「農福連携」の取り組みがすすめられています。農業就業人口の減少や高齢化、後継者不足などの多岐にわたる農業の課題を、福祉と連携させ両面から解決しようというものです。一般就労をめざす障がい者が農業分野での活躍を通じて、農業と福祉(障がい者)の課題をともに解決する取り組みが、今後すすめることができればと考えています。また、介護施設としてのグループホームなどの介護福祉施設の運営なども視野に入れ、今後も人と地域が交流し、ステップアップしていけるよう取り組みをすすめたいと思っています。
吉野事業所が担う水耕栽培も、他では機械化されている企業もあることでしょう。ですが、それを人の手でやっていることには、「雇用創出」だけでない意味もあると思っています。皆さんが買い物の際に「水『一つずつ人の手で育てられたものだから』という理由で私たちのレタスを選択してもらえれば嬉しく思います。吉野の豊かな自然で製造される、「奈良 桜よしの天然水」や「フリルレタス」のご利用、そして私たちの取り組みの応援をよろしくお願いいたします。レタスは水耕栽培なので日持ちします。通常のレタスよりもシャキシャキ感が長続きしますよ!