あをがき10月号特集「ならの元気は吉野から 吉野共生プロジェクト その2」で紹介している取り組みについて、インタビュー全文を本頁で紹介しています。

 「吉野共生プロジェクト」については、こちらをご覧ください。

 

【レポート】自然に触れて学ぶ森林と人との共生 奈良県南部農林振興事務所 林業振興第一課 田中正臣氏
【レポート】自然に触れて学ぶ森林と人との共生 絆の森整備事業

●里山を保全する「絆の森整備事業」の活動

 2007年にならコープと協定を結び、2008年から始まった黒滝村での「絆の森整備事業[1]」活動は、徐々に認知度が上がりつつあります。活動は、①里山林整備、②手工芸品作り、③キノコ植菌の三つの分野を柱に活動をしてます。それぞれ年に1回の開催を予定しています。
 ①の里山林整備は、主に6月開催です。スギやヒノキの間伐、下草刈り、歩道整備、植林、山野草植栽を主に行っています。②手工芸品作りは、11月~12月の開催で、木の実やツル、スギやヒノキの枝葉を使ったツリーやリース、蔓籠作りなど、山からの素材・恵みを使った作品作りを行っています。③キノコの植菌は、2月~3月の開催で、原木の伐採から、タモギタケやヤマブシタケ、シイタケ等の原木キノコ植菌体験を行っています。植菌して頂いた原木を持ち帰り、ご自宅で栽培することも可能です。

 おかげさまで、間伐や歩道整備については山全体の半分を整備することができました。植林は花の美しい木や実のなる木を中心にサクラ類やヤマボウシなど植栽しています。山野草植栽はササユリの植栽が中心で、イノシシやシカ避けの防護柵も参加者の皆さんで設置していただきました。昨年からは開花するササユリが増え、ササユリは村内でも栽培されている方がおられます。
 今後、絆の森整備事業の活動を通して、組合員の皆さんのご自宅でも育てて頂き、一緒に鑑賞会・展示会や組合員さんとお花見ができればいいなぁと夢を描いています。歩道整備や間伐などで黒滝村にお住まいの方を講師にお招きしたほか、キノコ植菌を村民の皆さんと共同で行った事もありましたが、今後もお花見会やササユリ鑑賞会、キノコの収穫・試食会など、村民の皆さんも含めて参加しやすい企画・活動を取り入れたいと思います。


[1] 絆の森整備事業…森林環境教育などの利用のための森林空間やアクセス道などの整備、地域コミュニティやNPOなどの参画を得た里山林の整備の推進が目的。森林所有者が所有森林を解放し、市民参加型による森林の造成を推進する事業。


【レポート】自然に触れて学ぶ森林と人との共生 杉を使ったクリスマススギ―(ツリー)
【レポート】自然に触れて学ぶ森林と人との共生 左上からシイタケ、ナメコ、マイタケ、マンネンタケ


●黒滝村を自然豊かな桃源郷に
 黒滝村では、村の特産品を作ろうという取り組みの中、昨年度からタモギタケやヤマブシタケの栽培を奈良県南部農林振興事務所と共同で推し進めています。村民向けの植菌・栽培講習会を行い、タモギタケのホダ木を持ち帰り、発生したタモギタケをそれぞれ試食していただいているところです。さらに村内の子ども園や小中学校の給食の具材として提供し、園児や児童、生徒、教職員の皆さんにも味見していただく予定です。この絆の森整備事業においてもタモギタケやヤマブシタケを含むキノコの植菌活動は大きな柱の一つとなっています。組合員さんには植菌活動に積極的にご参加いただくとともに、同時に村の方々にも呼びかけて一緒に植菌体験や試食会、料理教室も開催できればと思っています。将来はならコープ商品として多くの組合員さんにご紹介できるまで、黒滝村の特産品となるまで一緒に育てて頂ければ、こんなに嬉しいことはありません。

 黒滝村村史の冒頭に「郷土黒滝村は高原の桃源郷」という言葉がでてきます。絆の森が、地域のそして組合員の皆さんの桃源郷となるように里山の保全・整備を続けていきたいと考えています。


【レポート】自然に触れて学ぶ森林と人との共生 タモギタケ
【レポート】自然に触れて学ぶ森林と人との共生 ヤマブシタケ



<リンク集>
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