3生産者より報告をいただいた後、オンラインを通じて交流と質疑応答をおこないました。その内容を紹介します。


大内山酪農農業協同組合

(質問1)生協牛乳はならコープの組合員にとってなくてはならないものだが、昨年度の酷暑やコロナ禍にあって大変だったと思いますが、先日、組合員と話す機会があって、「子どもが生協牛乳が大好きで毎月80本買っています。生協牛乳がおいしくて、生協牛乳がなかったら生活できないわぁ」と仰っていました。組合員のこういった声を産地に伝えて、また産地の状況を組合員と共有していくことが必要と思いますが、今後に向けた私たちにできることは何かあるか、また昨年の酷暑で苦労したことなどを教えてほしいです。

<大内山酪農農業協同組合 営業部部長 水谷義照 氏より>

⇒昨年は夏に生乳不足となり、ならコープの組合員にご迷惑をおかけしました。昨年度はコロナがあり、それに追い打ちをかけるような形で夏場の酷暑がありました。いつもであれば牛の体調も涼しくなると生乳の量が増えてくるはずが、中々増えてきませんでした。ようやく今の時期になって生産量が安定してきており、組合員へのお願いについては先ずは利用をお願いしたいということと、どうしても夏場の生乳が少なくなる時は通常価で、生乳に余裕がある時期は少し値段を下げたようなことを考えているのでご理解いただければと思います。



(質問2)担い手や後継者の問題が一番大きな問題と思う。各産地でどのように取り組んでいるのか教えていただきたい。

<大内山酪農農業協同組合 営業部部長 水谷義照 氏より>

⇒中々生産者の減少には歯止めがかかりません、後継者も中々後を継いでいただけていないのが現状であります。そのため、生産者が減っても生乳の生産量を減らさないことを第一に考えています。酪農家について何ができるのかについては、国からの事業の利用促進や、我々の組合独自でしている補助事業などもしながら支援していきます。

 





㈱ロイヤルファーム 道南出張所

(質問1)異常気象による穀物の収穫量の減少で、牛の餌にも影響がでるかもしれないとの報告がありましたが、代替品などの研究は進んでいるのでしょうか。またはそういったものがあるのでしょうか。

<㈱ロイヤルファーム 道南出張所所長 吉田敬二 氏より>

⇒現在、アメリカのコーンベルト地帯では地下水を汲み上げて作物を生産していますが、地下水の汲み上げ過ぎによる地下水の減少や枯渇、地下水に含まれる塩分が地表面を覆い、砂漠化の進行により表土の流亡が進んでいます。

また、アメリカのカリフォルニア州では上流から中流にかけてコロラド川の水を用水路により作物に利用してトウモロコシや大豆などを作っていますが、下流域の街の人口が増えていることから水の需要が増え、農業で利用できる水が制限されているため、生産量が減っていることなどが問題となっています。

畜産業は穀類を利用することが多い事業ですが、中国や中東などの輸入量も増え、世界的に穀類の需要が増えて、反対に輸出国の生産量が減っている状態です。このため自国の穀類の需要増や輸出量の増加、二酸化炭素排出量の低下を目的としたバイオ燃料の利用増など、流通する穀物がひっ迫しており、穀物相場の上昇を招いています。

現在、アメリカやヨーロッパでは虫などを食用とし、高タンパクで高エネルギー栄養として利用する研究が進んでいますが、人が直接食べるのに抵抗がある先進国などに対応して、人が直接食べるのではなく、家畜を通じてとうもろこしなどの穀類の替りに飼料利用する研究をしているようですが、弊社として現時点ではそういったものを利用することは考えてはいません。

今有る原料の中でどう工夫していくか、現行の配合飼料を効率よく利用するため、加工方法を変えることで吸収率を上げる改善を手始めに行い、将来的に未使用原料を現行飼料と混合し利用した肥育方法も考える必要が有る場合でも、十分に安全性を考慮し、周りからの意見を聞き、内容については開示し、安心で安全な牛肉生産に今後も取り組んでいきます。



(質問2)担い手や後継者の問題が一番大きな問題と思う。各産地でどのように取り組んでいるのか教えていただきたいです。

<㈱ロイヤルファーム 道南出張所所長 吉田敬二 氏より>

⇒実際に、道南地区では後継者問題は心配なく、預託農家は全農家で後継者が引継ぎ、経営を行っています。後継者に継いでもらうのに一番心がけなければいけないことは利益の確保です。肉牛の生産をしていくうえでどうしても避けられない疾病や生育不良による淘汰、斃死などのペナルティが出てきてしまいますが、そのペナルティをできるかぎり起こさないため、ロイヤルファームでは飼育マニュアルを作成し使用管理の平準化に努め、技術指導に力を入れ、農業者が預託収益で利益がきちんと取れることを重要に考えています。つまり生活していくうえでの資金がきちんと残るということが重要と考えており、親がちゃんと利益を出していることが子どもに伝わることで後を継いでいくようになると考えています。 

その為、生産費をできるかぎり抑える工夫や情報提供、生産効率アップにつながる協力など、農家の利益を確保していくためのアドバイスや協力もしております。

 また、事業を大型化すれば従業員の確保が重要となりますが各地域の従業員だけに頼らず、外国人を積極的に従業員として雇い各預託農家自身も努力しております。

副産物である堆肥を利用し、他の農産物を生産販売できることも後継者の確保につながっていると考えています。





農事組合法人 多古町旬の味産直センター

(質問1)多古町旬の味産直センターの再エネの活動を伺いまして、大変関心があります。生産者の方でソーラーシェアリングとか農業と自然のエネルギーを組み合わせたことをチャレンジしている方はいるのでしょうか。

<農事組合法人 多古町旬の味産直センター 専務理事 鎌形芳文 氏より>

⇒私どももしていますし、生産者もソーラーシェアリングということで畑の上にソーラーパネルを設置して、その下で大豆や麦を生産している。テレビなどでも取り上げられ、歴代の総理3人も来られた。生産者がグループを組んでしてくれている。そういったところで作られた味噌は多古町旬の味産直センターでも取り扱っている。



(質問2)多古町旬の味産直センターについて、市民発電私たちのでんきについて、参加費はどの程度なのでしょうか。

<農事組合法人 多古町旬の味産直センター 専務理事 鎌形芳文 氏より>

 ⇒2パターンあります。5万円と3万円のパターンがあります。発電した電気は関東の生協にも供給させてもらっています。



(質問3)多古町旬の味産直センターについて、農産加工センターで“あまゆう”を加工させてもらっている。農産加工センターとして、生産者に対してできること、生産者が出荷していく過程で困っていることなどがあれば教えてほしい。農産加工センターとしても何か連携できればと考えています。

<農事組合法人 多古町旬の味産直センター 専務理事 鎌形芳文 氏より>

⇒さつまいも(あまゆう)を出荷させてもらっていますが、さつまいもは寒さにデリケートな農産物のため、痛みがはいりやすいので、あまり寒くない環境としたいです。私たちもパックセンターがあるが、組合員に近いところでパックをしてもらうことが重要と考えており、産地としてもありがたいです。今後も寒さと暖かさが繰り返されて春になると思いますが、袋で家庭に届きますが、袋のままだと呼吸がしづらいので、袋から取り出してそれほど寒くないところで保存していただければと思います。



(質問4)担い手や後継者の問題が一番大きな問題と思う。各産地でどのように取り組んでいるのか教えていただきたい。

<農事組合法人 多古町旬の味産直センター 専務理事 鎌形芳文 氏より>

⇒農家では休みを取れるようにしようということを大切にしています。農家の朝は早いが、1700以降の作業を減らすということを丁寧にやってきました。これまではパック作業を夜にやっていましたが、多古町旬の味産直センターで作業場を作り、生産者は集約して持ってくるだけでいいというようにしました。海外の技能実習生についても組合を作って支援してきたりするなど、残業をしない産地になるよう進めています。また、若い生産者と目標をもって、一緒に出掛けて、一緒に学んで、一緒に遊んでということを大切にしています。そうすることで新たな若い生産者の加入にもつながっています。