わたしたちの考え方

わたしたちの考え方

市民生活協同組合ならコープは、社会的責任経営の説明責任を果たすために、2005年から「ならコープCSRレポート」を発行しています。「ならコープCSRレポ―ト2021」ダイジェスト版およびWEB版は、以下を目的として発行しています。

  • ●ならコープの社会的責任経営の取り組みを、組合員、総代、ならコープ役職員、子法人・関与法人役職員、取引先、行政、諸団体などステークホルダーの皆さまに誠実に報告すること
  • ●ならコープの地球温暖化防止自主行動計画について、事業責任者としての温暖化対策の姿勢、具体的なアクション、実績および計画を明らかにすること

ならコープとSDGs

日本生活協同組合連合会は、2018年6月に開催された、第68回日本生協連通常総会にて「コープSDGs行動宣言」を採択しました。2015年に国連で採択された17分野の目標・169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」について、生協もその一端を担うべく、7つの取り組みを通じてその実現に貢献することを約束する行動宣言です。ならコープも同様に、「誰もがいつまでも笑顔でくらせる社会」をめざして、持続可能な社会・自然共生社会・循環型社会の形成に取り組みます。

コープSDGs行動宣言

第68回日本生協連通常総会・特別アピール

私たち生協は、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献することを
約束(コミット)します。

私たちは、「生協の21世紀理念(1997年総会決定)」のもと、助け合いの組織として、誰もが笑顔でくらすことができ、持続可能な社会の実現をめざし、様々な取り組みを進めてきました。誰も取り残さないというSDGsのめざすものは、協同組合の理念と重なり合っています。私たちは、あらためて持続可能な社会の実現に向けて取り組むことを、「SDGs行動宣言」としてまとめました。私たちは、以下の7つの取り組みをつうじて、世界の人々とともにSDGsを実現していきます。

〇持続可能な生産と消費のために、商品とくらしのあり方を見直していきます

私たちは、「つくる責任」と「つかう責任」の好循環を発展させ、持続可能な社会づくりをめざします。 国内外の人々、そして限りある地球資源へ思いをはせ、商品の開発と供給を進めます。学習活動を通じて、エシカル消費や持続可能な社会に関する理解を促進し、私たち自らの消費行動やくらしのあり方を見直していきます。

〇地球温暖化対策を推進し、再生可能エネルギーを利用・普及します

私たちは、地球の持続可能性を揺るがす気候変動の脅威に対して、意欲的な温室効果ガス削減目標(2030年環境目標)を掲げ、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組みます。再生可能エネルギーの電源開発や家庭用電気小売を広げ、原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換をめざします。

〇世界から飢餓や貧困をなくし、子どもたちを支援する活動を推進します

私たちは、誰一人取り残さない世界をめざして、世界が抱える問題についての理解を深め、助け合いの精神を貫き、ユニセフ募金などに取り組み、世界の子どもたちを支援します。「貧困」の連鎖をなくしていくために、子どもの貧困について学び、話し合う活動を広げ、子ども食堂やフードバンク・フードドライブなどの取り組みを進めます。

〇核兵器廃絶と世界平和の実現をめざす活動を推進します

私たちは、「核なき世界」の実現のために、世界の人々と手を携えて、核兵器を廃絶し、平和な社会をめざす取り組みを進めます。私たちは、次の世代に被爆・戦争体験を継承し、日本国憲法の基本原則である平和主義のもと世界平和の実現に積極的に貢献します。

〇ジェンダー平等(男女平等)と多様な人々が共生できる社会づくりを推進します

私たちは、地域における活動を通じて、社会のジェンダー平等と多様な人々が共生できる社会の実現に貢献します。女性も男性も、誰もが元気に、生きがいを持って働き続けられる生協づくりを進めます。

〇誰もが安心してくらし続けられる地域社会づくりに参加します

私たちは、誰一人取り残さず、安心してくらし続けられる地域社会づくりに参加します。自治体や諸団体との連携を大切にしつつ、地域の見守り、移動販売や配食事業など、生協の事業や活動のインフラを活用し、地域における役割発揮を進めます。

〇健康づくりの取り組みを広げ、福祉事業・助け合い活動を進めます

私たちは、食生活、運動、社会参加の視点から健康づくりを進めます。安全・安心はもとより、より健康な食生活に向けた商品事業と組合員活動を推進します。生活習慣病や介護予防など「予防」を重視し、福祉事業や助け合い活動を広げ、自治体や諸団体と連携し、地域包括ケアシステムのネットワークに参画します。

わたしたちを取り巻く環境(『2020年度 環境活動のまとめ』より)

 ならコープは、創立以来「よりよい生活は、平和とよりよい環境の中でこそ実現する」と考え、「安心・安全」を求めてさまざまな活動を展開してきました。そして1991年には、環境問題へのならコープの姿勢を「環境基本政策」にまとめ、環境活動の基本的な考え方や方向性を広く内外にアピールするとともに、事業高の千分の一を環境資金に充て、着実に環境を守る取り組みを実践、前進させてきました。
 しかし環境問題に関する情勢は大きく変化し、最近では想定を上回る水害や干ばつが全世界で起こり、私たちの生命や財産を奪う事態になっています。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書の執筆者の一人で国立環境研究所の江守正多氏は「地球温暖化で気温が1℃上昇すると水蒸気量が7%増えるので、豪雨を強化させているのは明らかだ。ベースが上がっている分、ふつうの大雨を記録的な大雨に押し上げる」と指摘しています。地球温暖化問題は、感染症や自然災害の発生との関係でも国際社会の共通課題と認識されてきており、米国の環境エネルギー政策の180°転換の動き、総理の2050年に温室効果ガス実質排出ゼロ方針の表明もあり、2050年に向けたパラダイムシフト※への入り口に突入したとの認識が必要です。新型コロナウイルスは、ワクチンや治療薬の開発に合わせて徐々に収束に向かうことが期待されますが、一気に終息とはいかず、社会経済活動の制限と解除の中で、感染者増減の波が繰り返され、今後も社会不安が継続すると考えられます。新型コロナウイルス感染は、経済のグローバル化や地域のボーダレス化 、地球環境破壊の流れが感染拡大に拍車をかけたといえ、人類活動への警鐘と考えられます。
 このような情勢認識の中、2020年9月、ならコープの「2030環境ビジョン」を策定し、持続可能な社会の実現に向け、ならコープが目指すべき2030年に向けた行動を開始しました。エネルギー問題、食品ロス問題、プラスチック問題への取り組みを中心に活動をすすめ、地域とともに再生可能エネルギーを「つくる」取り組みでは、下北山村とならコープで締結した『下北山村の村づくりに関する包括連携協定』にもとづき小又川小水力発電所の発電を開始することができました。食品ロスの問題は組合員とともに学習をすすめ、フードドライブの実施や、店舗・無店舗事業の余剰品をフードバンク奈良に寄付、フードバンク奈良を通じて子ども食堂など必要とされている方々に商品を提供することができました。環境活動は、コロナ禍でイベント開催が困難な状況でしたが、オンライン学習や野外活動など運営を工夫しながら学習をすすめることができました。
 「2030環境ビジョン」は、ならコープにかかわるすべての関係者のビジョンでもあり、未来への約束です。「子どもや孫のために美しい地球と自然を残してあげたい」という、純粋な想いと倫理観を広げ、事業・活動・運営の中で、プラスチックや食品ロスを減らす、省エネ機器設備の積極導入、化石燃料から自然エネルギーへの活用に切り替えるといった視点で評価と実践をしていく経営に転換すること、組合員の行動の変化につながる取り組みを確実に積み上げていくことをお約束し、2020年度の環境活動についてご報告いたします。

※パラダイムシフト…その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化すること。

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