「あすなら塾公開講座」憲法編『ベルばら憲法カフェ』を開催しました。

*新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場とZOOMを活用したオンラインで実施しました。  



 1月28日(木)コープなんごう集会室で憲法編『ベルばら憲法カフェ』を開催、34人が参加。 講師は、あおば法律事務所・明日の自由を守る若手弁護士の会 橋本智子弁護士より憲法について楽しく学びました。

 

あすなら塾:~憲法編~「ベルばら憲法カフェ」

●絶対王政にみる“憲法のない世界”

 「ベルばら」は、17世紀後半のフランス革命前から革命前期を背景にした物語。貴族の六女として生まれながら、誕生した瞬間から父親に男性の軍人として生きることを決められた主人公オスカルや、政略結婚で14歳にして隣国から嫁いできた王妃マリーアントワネットが物語を繰り広げます。憲法がなかった絶対王政時代がどのような世界だったかが描かれています。 国王が全ての権力を神から授かっているとし、国王の一存で税金を増やすことも、戦争さえもできるのが絶対王政です。僧侶・貴族・平民の身分制で、税金が課されるのは平民だけ。財政難の国は、不景気で仕事がなく食事も満足にできない平民に重税をかけます。また、貴族も幸せだったかというと、結婚は国王の許しが必要で、望む相手とはできませんでした。これらは憲法がなかったからで、主人公は「一人ひとりの人間がかけがえのない存在として大切にされ、私らしく自分らしく平等に生きる」を掲げ、フランス革命に身を投じます。フランス革命は、まさに自由・平等・博愛の社会をめざし、そのために憲法をつくろうとしたのです。そして、この思想は私たちの日本国憲法にもいかされています。

あすなら塾:~憲法編~「ベルばら憲法カフェ」

●憲法ってそもそもナニ?

 “憲法はわかりにくい、とっつきにくいもの”と思われがちですが、国が好き勝手な法律を作ってはならないと定めています。コロナ禍の社会で「生活に困っていたら国に助けてもらう」…これは憲法第25条で「国民は最低限度の生活を営む権利を有する」と約束されていることです。基本的人権、個人として尊重されること、信教の自由、言論・表現の自由、学問の自由、婚姻の自由、教育を受ける権利、労働基本権…国はこの権利の保障に努めなければなりません。憲法というのは、国民の権利を定めることで国の義務を定めるきまり。国は憲法の範囲内で国民に義務を課しています。



●普段から、不断の努力  

 ただ一つ憲法が国民に求めているものがあります。それは、憲法自身を守り壊されないため、国民が自分達の権利を守ることに不断の努力をすることで、憲法第12条で定めています。私たちは、憲法をしっかり学んで、政治をウォッチして、「これはおかしいんじゃない?」と小さな声でも挙げていかなければいけないと思います。参政権を行使して政権を変えることもできます。“不断の努力”というと仰々しいですが、新聞を読んだりしてニュースを知ること、学習会に参加することも不断の努力です。

あすなら塾:~憲法編~「ベルばら憲法カフェ」

●ベルばらの中のジェンダー問題が今も  

 最後にジェンダー問題です。みなさん、女性であるゆえにしんどい、嫌な思いをされたことはありませんか?「ベルばら」の主人公は、女性ですが身分の高い貴族で軍人です。貴族でも身分の低い衛兵隊の隊長に転属したとき、部下から「女の命令がきけるか、女は家庭にいろ、われわれの働くところに入ってくるな」と言われます。今の日本は、昔より働きやすくなっているとはいえ、基本的には昔と変わらないところがあります。問題の本質は、このベルばら時代と共通していると思います。憲法だけでなくジェンダー問題についての観点からもベルばら時代に学ぶところが多いのです。