11月24日、コープ七条集会室であすなら塾環境編「プラスチック問題について」の公開講座を開催しました。講師は大阪商業大学准教授の原田 禎夫氏、ご自身が特定非営利活動法人「プロジェクト保津川」代表理事であり、保津川で毎月清掃活動を実施、プラスチックごみによる海洋汚染を川から防ごうと、川岸に散乱するプラスチックごみの回収を地域住民と行われています。原田氏からは,「プラスチックごみ問題は、ポイ捨てだけが問題ではない」という視点でお話しいただきました。

 

あすなら塾:~環境編~プラスチック問題について 大阪商業大学准教授 原田禎夫氏
あすなら塾:~環境編~プラスチック問題について

「未来のために知っておきたい、海とプラスチックの話」

●プラスチックごみの影響は
 日本の河口では、人工芝の破片である緑のつぶつぶが砂の中に混じっていたり、プラスチックほうきの破片が多くみられます。大阪湾では、ビニールごみによる漁業被害が深刻となっています。ビニールごみは、海底にふたをすることになるためヘドロがたまってしまいます。
そんな中、例えば関西では、和歌山の友が島や京都の由良海水浴場でポイ捨てされるごみが多い状況です。地元住民の高齢化でごみの清掃も行き届かず、地域の観光にも影響が出ています。最近では交通網の発達により、日帰りで訪れる観光客が多く、地元にお金が落ちない問題もあります。そうした地域が増えつつある中、観光地以外でも、大和川や淀川などいろんなところにごみが漂着しています。
 海外では、ミッドウェー島に打ち上げられたコアホウドリの死骸の中から、歯ブラシや洗濯ばさみなどの10kgほどのプラスチックごみが出てきたことが話題になりました。海洋プラスチック汚染は深刻で、2050年には魚より漂流するプラスチックごみのほうが多くなるといわれています。5mm以下のものはマイクロプラスチックといわれますが、これには大きな問題があります。プラスチックには、いろんな化合物が入っているため、製品時に問題がなくても劣化します。劣化したプラスチックが、海洋中にあるポリ塩化ビフェニル(PCB)などの有害物質を運ぶ原因となり、魚などの水産資源に取り込まれ、結果的に私たちの体内に取り込まれてしまいます。
 
●日本のリサイクル事情は
 「プラスチックは悪くない、ポイ捨てする人が悪い」という論もありますが、必要な時に大事に使い、不必要なものは減らしていく(リデュース)努力が必要です。現状、日本はリサイクルが優先となっていますが、リデュースが最優先です。これまで、日本で回収されたペットボトルの半分は中国へ輸出されていましたが、中国側が輸入停止となり、現在では他のアジア諸国へと輸出されています。日本がアメリカを抜いて最も多くプラスチックを輸出しています。

●海外のプラスチックごみを減らす活動
 海外ではデポジット制度(※1)を導入し、再利用できるように厚めにペットボトルをつくり、ラベルやキャップをつけたまま工場で処理しています。他にも、街の中に給水スポットがあり、アプリなどでその場所がわかるようなシステムがあり、マイボトルの持参がすすんでいます。しかし日本では、ペットボトルなどを家庭で洗うのにも負荷がかかり、作業場での手間も掛かっています。ペットボトルを使わなくてもいいようなシステムを作らなければ、老いた時にごみ出しも大変になってきます。給水スポットやリユース食器などについては、日本でも少しずつではありますが普及し始めています。
 皆さんも、まずはごみを減らす活動をしましょう!
(※1…デポジット制度=使い捨ての飲料容器など環境に悪影響を与える製品の改修を促すため、製品価格にあらかじめ預託金を上乗せして売り、製品使用後に販売店など回収拠点に持ち込むと預託金が払い戻される制度)
 



次回は12月14日(土)~福祉・子育て編~フードバンクって何?
会場:コープふれあいセンター六条(奈良市六条2丁目17番6-11号)
時間:10時~12時
お申し込み・お問い合わせ:ならコープ 組織部 電話0742-45-7884(月~金 9時~17時)
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