【レポート】自然エネルギーによる地域の活性化
あをがき10月号特集「ならの元気は吉野から 吉野共生プロジェクト その2」で紹介している取り組みについて、インタビュー全文を本頁で紹介しています。
「吉野共生プロジェクト」については、こちらをご覧ください。
●過疎化する村に「水力発電所」の潤いを
東吉野村の「つくばね発電所」は、大正3年から昭和38年までの間、川の水を利用した水力発電所として稼働していました。東吉野村で育ち、つくばね発電所には幼少の頃から馴染みがありました。関西電力で勤める傍ら、過疎化する村を潤すことができる起爆剤のようなものができないだろうかと考え、そこで『つくばね発電所を復活させたいという想い』が芽生えました。
2013年に地元有志による「東吉野村小水力利用推進協議会」を発足し、2014年には「東吉野水力発電株式会社」を設立しました。地域の人々に交渉したり了解を得たり、一時期工事がストップするなど、さまざまな困難もありました。しかし、本当に多くの方からの支援を受け、つくばね発電所の復活がついに2017年に実現しました。現在は「ならコープでんき」の電源として組合員の皆さんに自然エネルギーを活用した電気をお届けしています。事業の利益は、東吉野村の活性化に役立てたいと思っています。
自然エネルギーを活用し、村民の力で復活を遂げたつくばね発電所は、全国から注目されています。これまで全国から約1800人もの人が見学に訪れ、私自身も講演のため各地に赴きました。そして、視察に訪れた方が同じように地元で発電所の復活を実現したという例を聞くと、「ああ、やってよかった」と改めて感じます。現在、石油燃料に代わる木質バイオマスの活用として、村の木を温泉施設で利用できないか調査や研究をすすめています。自然の力を利用し、村とも協同していくことで、今後も東吉野村を再生可能エネルギーの村としていくことができるよう、挑戦していきたいです。
●つくばね発電所を中心としたコミュニティーの広がり
つくばね発電所によって地域が活性化することを一番の目的とし、現在では、発電所を中心とした地域のネットワークが出来つつあります。吉野共生プロジェクトではさまざまな支援をいただき、発電所の隣には桜やカエデなどが33本「吉野の森と水を守るための募金」によって植樹されました。そのスペースも、今後人々がつどい森と水を考える場にできればと思っています。
また、古民家を利用したコミュニティスペース「つくばねっこ村」が子どもたちの集える場としてオープンしました。レストラン営業をメインの活動として、子どもたちの遊び場となっています。お豆腐団子づくりなど、村内外の人を講師に呼んでさまざまなイベントを開催し、レストラン営業やイベント時にお手伝いとして子ども店員が参加してくれています。
人々の暖かな協力があってこそ、この取り組みは完成に至りました。つくばね発電所の復活は始まりにすぎず、これからもっと地域のコミュニティーが拡がり、子どもの教育の場などもできればと思っています。キャンプ場もありますし、発電所見学者の方に村のいいところをもっと知ってもらいたいと思っています。ぜひ東吉野村、つくばね発電所に来てみてください。
<リンク集>
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東吉野村小水力利用推進協議会
東吉野村 つくばね小水力発電復活ファンド
ごはんと暮らしとあそび つくばねっこ村