その町の由来
1889年(明治22年)、記録的な大水害に見舞われた奈良県十津川村。災害から立ちなおるため、故郷をあとにして新天地を求めた600戸・2,691人の人々は北海道を目指した。数々の困難と苦心を重ねて拓けゆく荒野。やがてその地は『新十津川』と呼ばれるようになる。現在の「新十津川町」は、こうして奈良の人々が名づけ親となって誕生した。
一方、米づくりはその後に入植した富山・新潟の人々が中心になって広めたという。今、町は道内でも有数の米作地帯の一角を占めるまでに成長した。ならコープ産直米「ふっくりんこ」「特別栽培米(
※1)きらら397」は、そんな歴史と絆をもつ町から私たちに届いている(
※2)。
恵まれた環境で
新十津川町は北海道西部に位置、気候は奈良とずいぶん違う。ただ、海側から移動する大気がピンネ山系にぶつかり、地域の上空を流れて彼方に吹き降りる特性をもつ。このため大気はドーム状にあたりを包み込み、気候を安定傾向へと導く。夏の気温差やピンネ山系からくる良質で冷涼な水が使えることにあわせて、おいしい米づくりに叶う条件がそろう。
こうした環境の中、「ふっくりんこ」「特別栽培米きらら397」ともにきめ細やかな営農指導のもとで収穫がすすむ。刈り取り時期や水管理、登熟時期(できるだけ早く田植えをして、気温の安定した時期に稲穂を成熟させる)の調整では各農家の実情にも考慮。また、土壌分析は全農家の水田を対象にサンプルを抽出する。そうして肥料分などを検査、タンパク質の含有量が低い(窒素分からできるタンパク質の含有量が低いほど、味がよくなる)米づくりに取り組んでいる。
右上/ふっくりんこの圃場 右下/特別栽培米きららの圃場
中/収穫を待つ、きららの稲穂 左上/ふっくりんこの生産者 左下/きららの生産者
品種のちがいは?
ホクレン農業協同組合連合会の資料によれば、「きらら397」は噛むほどに甘み豊かで、しっかりした食感に特長があるという。「ふっくりんこ」は甘み・粘りがともにやや強く、ふっくらした食感が特長。
丼やピラフなら・・・・おにぎりやお寿司なら・・・・そんなことを想いながらお米を選んでみるのも面白い。あなたなら、どちらを選ぶだろう?
※1/特別栽培米とは、減農薬・減化学肥料で栽培したお米です。
※2/新十津川町を中心に、JAピンネ管内で栽培されています。
1. 大規模農業のかなめ
刈り取りから脱穀までの収穫作業を担う大型コンバイン。速い刈り取りと長時間でも疲れない操作性をもつ。
2.手作業で除草を
特別栽培米では収穫間際まで除草が続く。農薬の制限は「機械では取れない」雑草との闘いでもある。
3.「登熟」を見る
収穫を控えた田んぼで、米の成熟具合(登熟の様子)をたしかめる生産者。9月中旬頃までの成熟が目標。
4.「遠赤乾燥」
近年、急速に広がった遠赤外線乾燥。天日干しの「はさかけ」に負けない低温乾燥を実現するという(特別栽培米での例)。
5.異物・不良を除去して
乾燥を終えれば「籾(もみ)すり機」で玄米に。特別栽培米では高精度といわれるロータリー選別方式を採用、良質な玄米の生産に努める。
6.「ふっくりんこ」も
ふっくりんこの生産者が使う遠赤外線乾燥機の例。「水分量の安定が品質の良さにつながる」のだという。
7.大規模な出荷
ふっくりんこの生産者が使う「籾すり機」。大規模化がすすむ農家の収穫・出荷作業を示す設備の例だ。
8.計量を終えて出荷
収穫から乾燥、籾すり・選別を経て玄米の計量を終えると出荷できる。ならコープでは、この後、全農パールライス(株)で玄米を精米してから組合員に供給する。