「泉州水なす」とは
水なすは大阪府南西部、泉州地域の伝統野菜。岸和田、貝塚、熊取、泉佐野市などが主な産地。むかしは夏の農作業で乾きをいやすために栽培したとの逸話もあり、水分が豊富。ほのかな甘味もあって生食もできる。江戸時代から続くこの特産物は、近年、漬け物の素材として注目されるまで全国に知られることはなかった。
もともと泉佐野市や貝塚市などは土壌の水はけがよく、農家は各所に溜池をつくって水を確保した。そうした中には海の近さから地下水に塩分を含むところもある。気温が高い季節、蒸発してゆく水分を補うために、水なすは多くの水分を身につけるようになったといわれる。
米づくりのために貴重な溜池の水を使った時代も終わり、他の作物にも自由に水が使える地域が増えた現代。涼しげなみどりの葉陰で、多くの水なすが深い藍色に染まる季節を迎えている。
右上/水なすの花 右下/収穫間近の水なす
中/豊富な水分を含む 左上/畝を通る給水管 左下/収穫の様子
信頼関係の中で
まず、お伝えしたいのはメーカーが泉州地域に契約農家をもつこと。ただし水なすの生産者には各人独自のこだわりがあるため、栽培方法や施肥などを指示要請することはない。納品基準なども契約農家の個選(生産者みずから等級を選別)に任せる。メーカーがおこなっているのは、毎年のように開く意見交換会。生産者の声に耳を傾けることを、ずっと続けている。
しかし農産物は豊作もあれば不作もある。泉州産以外の水なすが入荷する可能性は・・・・?メーカーは次のように回答した。
「市場へは地元JAの共選(JAが一括して選別する)原料と、市場が直接生産者と契約している原料の2通りがございます。市場から仕入れる場合もありますが、毎シーズン前に産地証明書をいただき、泉州産原料である証明をとっております。また、泉州以外の産地で市場流通する水なすは、ほとんど無いのも現状です」
おいしく食べよう
商品は日数の経過と共に塩味が増してゆく。あっさり好きなら商品到着日か翌日に食べるのをおすすめする。4日目からは漬け物らしい、しっかりした塩味に。コシのある日本酒とあわせるなら4日目か5日目が合うけれど、6日目までには食べきることをお忘れなく。
1. 生産者から
工場に届いた直後の水なす。皮がうすくキズつきやすいため、丁寧に梱包されていた。
2.もみがらで
取り出した水なすを、もみがらの上でやさしく転がす。漬けあがりの「色ムラ」を防ぐための重要な手作業。
3.ヘタをカット
もみがらで転がしたあとは軽く洗浄後、ヘタの部分を包丁でカットしてゆく。
4.オゾン水で
ヘタを取り終えれば、オゾン水で洗浄・殺菌をおこなう。直後にカット(縦割り)加工をおこなう。
5.あっという間に
水なすを投入すると自動で縦割りに。繊維に沿って縦にカットする事で、歯ざわりがよくなる。
6.少し厚めに
カットした水なす。原菜の良さ、美味しさを楽しめるよう、少し厚めにしている。
7.調味液へ
酸味を抑え塩度も低く設定した調味液で浅漬けにするため、低温管理を徹底している。
8.計量と包装
漬け上がった水なすは手作業で計量後、ひとつひとつ包装機へ投入。調味液を充填して密封後に完成する。