鹿児島の心
種鶏から雛をかえし、育成肥育すること。その若鶏を処理加工して出荷すること。マルイ元気鶏はすべてが一元管理されている。飼料の生産や商品にまつわる物流、鶏糞の肥料化まで、マルイ農協とその組合員(養鶏農家)、グループ会社が担わないことを見つけるのはむつかしい。
そこで提唱されているのが「安心・安全な鶏肉の供給」。たとえば飼料は原料を直接買い付けて化学分析などの品質検査を実施、専用の配送車(系列の運輸会社)で農家へ。こうしたしくみのもとで実現する「抗生物質・合成抗菌剤を飼料に混ぜない」取り組み───それは15年以上にわたって続いている───は、商品最大の特長でもある。
大規模な鶏の肥育は、病気の発生という深刻なリスクを養鶏農家に負わせる。場合によっては破産もありえる危険を回避するため、一般的には抗生物質や合成抗菌剤を飼料に混ぜ与える。もちろん、その使用については飼料安全法が種類や使用量を定め、出荷前の7日間は投与を禁止している。市場で「休薬期間○○日」との説明を見る場合、その休薬期間とは、飼料安全法が定める7日間プラスアルファの日数を指すことが多い。
マルイ元気鶏はワクチン接種を除き「孵化から出荷まで」そうした薬剤の投与がない。
右上/緑豊かな環境に建つ肥育鶏舎 右下/敷地内は防疫のため石灰を散布
中/開放鶏舎の様子。夏場は霧の自動散布で空調も
左上/鶏舎内の若鶏 左下/多種豊富な穀類主体の飼料
生協仕様で
若鶏の処理は野田工場・大口工場、ふたつが分担しておこなう。まず、野田工場へ鶏が入荷。と畜、羽毛処理などを経て肝類を取り除く。その後、芯温約3度まで冷やし込んで解体。上身(手羽やムネ)・下身(モモ部分)の分割から各部位への成形(おおよそのカタチにする)までを約100分ほどで完了。専用工場なので他産地の鶏処理はない。細菌検査や検査員(獣医師)の設置に加え、迅速な処理で安全管理に努める。
大口工場では整形(商品仕様のカタチにする)処理後、IQF(Individual/ひとつひとつ、Quick/すばやく、Freezing/冷凍。必要な分量だけを調理でき、鮮度を落とさず長期保存できる)方式で凍結を。この工場は野田工場で解体した鶏肉のみを入荷、出荷はすべて生協向け商品になる。生協の仕様に叶ったものが、旨みが整った状態で届くしくみだ。
1. 解体のはじまり
羽毛などを処理した鶏を、まずは上身(手羽やムネ)と下身(ふたつのモモなど)に分割する。
2.ムネ肉を
切り離した上身は、こうしたライン上で手羽やムネ肉、ササミなどを次々と切り離してゆく。
3.モモ肉は
これは機械でモモ肉の骨を抜き取っている瞬間。忙しく稼働しているが、全量は処理できない。
4.人の作業も
多数の作業員がスピーディーにモモ肉の骨取り作業をおこなう。使用する刃物の管理も含めて見事。
5.凍結前には
凍結・出荷は100%生協出荷の別工場でおこなう。ここで鶏肉をさらに整形加工する。
6.いよいよ凍結
目視チェックも終了、スパイラル凍結機へ。約マイナス25度からマイナス35度でバラ凍結になる。
7.商品の完成
生協商品の仕様にあわせてカット、使い勝手の良いカタチでバラ凍結を終え完成。
8.最後も入念に
計量や包装は機械化されているが、一部は手作業でもおこなう。この後、金属探知機などのチェックを経て箱詰め保管(マイナス18度以下)、順次出荷する。