こがね色の芋を
商品の原料に使うサツマイモは、昭和41年に登録されたコガネセンガン(黄金千貫/農林31号)。鹿児島で開発されたこの品種は、こがね色の皮と白い中身をもつ。当初はでん粉原料として需要が高く、後にシロユタカやシロサツマが台頭するまでその主役だった。
一方、味は「でん粉貯蔵細胞が比較的小さく揃う」との特性から「舌ざわりがなめらかでホクホクおいしい」ことがわかる。近年は焼酎ブームで再び需要増に。甘やかでコクのある芋焼酎ができると評され、森伊蔵など有名ブランドの原料にも。
そして───コガネセンガンは油との相性がとてもよい。揚げ菓子の素材としても、すぐれた素質をもつ。
右上/彼方に開聞岳を望む美しい圃場の例 右下/収穫前に芋のツルを除去する
中/堀りたてのコガネセンガン
左上/機械での収穫作業 左下/手掘りでの収穫も多い
こがね色に仕上げて
さつま芋は新鮮なうちに植物油で揚げれば、きれいなこがね色になる。収穫からの時間が経つほど芋の澱粉が糖化、揚げた際に黒っぽく変色してしまう。そこでメーカーは「前日収穫品」の入荷を基本として生産者に協力を要請。また、自社で良質な種芋から育苗をおこない、生産者に配付、栽培をすすめる(約60万本)。さらには担当者が収穫作業中の圃場を毎日訪ね、品質や数量などの情報を工場にフィードバックすることに努めている。
焼酎ブームを背景とした原料競合や昨今の天候不順による不作。品質にこだわりのない価格競争。商品の計画製造は年々難しくなってきているといわれる。それでも、こがね色のうつくしさと「味」のため、芋の鮮度と品質の追求に余念がない。
「芋けんぴ用のコガネセンガンは、新鮮で良質なモノでないとダメだ」と生産者に浸透したと語るメーカー。売りっぱなしではなく、作りっぱなしでもなく・・・・そこには消費者の笑顔へとむかうモノづくりの基本がある。
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芋を切って、油で揚げて、グラニュー糖をからめただけ・・・・でも、だからこそ芋がものをいう。そしてもしかしたら、その素朴な風味を通して芋をつくる人々の想いを、私たちは感じることができるかもしれない。
1. 生産者から
収穫した芋は、その場ですぐに専用の大きな袋に詰めてゆく。
2.工場へ
巨大な袋をクレーンでつり上げ、中身をベルトコンベアへ。ここから製造がはじまる。
3.袋のタグには
生産者名などと共に「掘取り日」を記載。前日収穫にこだわる。
4.品質の追求
「良質な芋」の入荷のために、責任者が抜き取り検査を。時には生産者へ指導することも。
5.泥を落として
ベルトコンベアで運んだ芋は、洗浄ブラシや高圧シャワーで泥汚れを洗い流す。
6.手作業で
土が染みこんだり傷みのある部分があれば、包丁で丁寧にカットして取り除いてゆく。
7.カットはヒミツ
整形した芋は自社製のマシンでスティック状にカットする。その様子は企業秘密。
8.高温・中温で
はじめに高温の油で、仕上げに中温の油でおいしく揚げる。この後、糖蜜をからめて完成。