酢の働き
食物から摂った糖質を分解、エネルギーに変える上で、クエン酸は重要な役割をもつ。そのクエン酸のもとになる成分が酢酸。酢が体によいといわれる理由のひとつは、豊富な酢酸が体内でクエン酸に変化してくれるから。そうした成分を得ることで、元気な日々も期待できる。
今回、誌面に登場した「CO・OP鹿児島の黒酢ドリンク」は、ある程度の酢が摂取できることを目的に開発された。しかも酢の味を完全に無くすことなく、美味しく飲めることがテーマ。そのために辿り着いた原料──まずは黒酢製造の現場へと向かった。
感動の壺づくり
鹿児島県福山町で製造する壺づくりの黒酢。それは近頃いろんなメディアで紹介されている醸造所にあった。壺畑は山側、海側の各所に点在するが、鹿児島湾を望む風景が有名。南に桜島を見るその場所には、多くの観光客が訪れる。
南国の空の下、無数にならぶ壺。仕込まれているのは、米麹と蒸し米、水。それが太陽の力でゆっくりと糖化する。その後、アルコール発酵から酢酸発酵を経て壺の中は琥珀色の液体で満たされる。黒酢の完成には仕込みから1年以上を要するが、その影には、ひとつひとつを毎日見守る職人たちの姿がある。
三分づき(玄米を3%削ったもの)の米。味噌や醤油の醸造とおなじ黄麹。水は、かつて薩摩藩主に献上の逸話が残る姶良(あいら)カルデラの良質な地下水。今回の商品に求められたのは、まっとうな原料が歳月と共に育んだ「まろやかさ」だった。
右上/黒酢を仕込む陶製の壺 右下/酢を仕込む良質な地下水
中/壺づくりは確かな観察力と自然が調和して成り立つ
左上/黒酢の明度から熟成を計る 左下/歳月が酢を琥珀色に染めてゆく
無理なく摂れる
商品を製造する(株)ふくれんは、CO・OPミックスキャロットなども手がけるベテランのメーカー。その工場は福岡県にある。
黒酢を飲みやすく、美味しくするためメーカーが用意したのが国産りんご果汁。りんごの味と酢の風味とのバランスを考え、果汁は透明化処理したものを選んだ。
一般に良いといわれる1日の酢の摂取量を考え、1本(125ミリリットル)あたりの配合量を6ミリリットルに設定。朝昼夜の1本ずつで無理なく必要量が摂れる。夏は何かと疲れやすい。あなたの冷蔵庫にも、ぜひ。
1. まずは黒酢を
調合タンクでブレンドする黒酢を次々と開封、放出して作業がはじまる。
2.りんご果汁も
黒酢の放出と共に、りんご果汁の準備も開始。透明化処理された国産濃縮果汁を使用。
3.味よく調合
黒酢や果汁の品質チェック後、調合タンクで香りづけなどもおこない商品ができあがる。
4.コントロールは
調合などをコントロールする制御盤。調合以降、中身が外気とふれることはない。
5.殺菌と冷却
プレートヒーター・クーラーで殺菌と冷却をおこなう。その後、無菌タンクへ。
6.いよいよ充填
パック容器に液体を充填するには、凝ったしくみが必要になる。充填機はかなりの大型に。
7.ストローをつけて
充填が完了後、賞味期限の刻印とストローの貼り付けで商品が完成する。
8.箱詰め・出荷へ
箱詰め機で商品を梱包、パレットに積んで出荷の運びとなる。