特別栽培農産物
まず、お知らせしたいのは、「九州のカットほうれん草」の90%以上が宮崎県産であること。残りは鹿児島県産だというものの、それは近隣といってもよい場所。もうひとつは、一部の契約農家を除き、8割以上のほうれん草をメーカーの自社農場で栽培する点。だから管理が良い。畑ごとに栽培カルテを作成、管理担当が毎日のように巡回してすべての状態を把握。出荷後も商品の包材に記した刻印から「いつ」「どこで」収穫したものかがすぐに判る。
その年の10月から翌年の4月頃まで、旬の露地モノを特別栽培農産物(地域の慣行農法にくらべ農薬の使用回数・化学肥料/チッ素成分量が5割減であること)として土づくりから丹精する点も見逃せない。残留農薬検査を畑単位でおこないながら、地元の牛や豚、鶏が生み出す堆肥(有機肥料)ですこやかに育つ。また、日頃の手入れでは「手作業での除草」にも感嘆。畑にかがみ込むようにして雑草はもちろん、枯葉なども丁寧に取り去る作業に日々いそしんでいる。
およそ200ヘクタールにもなるという自社農場。ほうれん草の総生産量は2,500トンにおよぶ。
「高齢化で農業を続けられない方々の土地をお借りしているんです。それでここまで大きくなった。少なくとも私たちが頑張っている分、地域の農業は活性化している。都城の美しい畑が守られている。その信用のたまものですよ」
撮影のため、各地の畑を案内いただいた米丸専務の言葉が印象的だった。
右上/保温シートで畑を覆う 右下/手作業での除草作業
左上/収穫間近のほうれん草 左下/収穫機の後ろ側 中/作業中の収穫機
迅速と徹底と
工場での作業を簡潔にいえば「洗ってボイルして冷凍する」。ただ、その裏側には実に綿密な工程の流れがある。ダメージを与えず繰り返し洗浄をおこない、幾度も幾度もチェックを重ねる。汚れや異物に対する対策は、洗浄ラインの改良や新しい機械の導入も含め熱意を感じた。その一方で、ほうれん草の入荷から冷凍までは20分ほどで終えてしまう。原菜の良さをそのままに新鮮凍結する秘訣が、その迅速さにある。
ボイル加工済みなので、サラダなどに応用すれば体にうれしい一品が手軽にできる「CO・OP 九州のカットほうれん草」。素材の良さ・旬を閉じ込めたフリーザーの野菜畑と言ったら、言葉がすぎるだろうか?
1. 丹念な洗浄
搬入後、ドラムや水泡で洗浄後、さらにブラシ洗浄を。上からはシャワーが降り注ぐ。
2.選別開始
最初の選別。変色や傷みのあるものを素早く取り除く。この後、再び水泡などで洗浄。
3.ボイル直後も
ボイル後に冷却槽を流れるほうれん草。ここでも異物などのチェックをおこなっている。
4.さらに流水で
流水層で選別を繰り返す作業の様子。この後、カット・しぼりラインへと続いてゆく。
5.余分な水分を
以前は遠心分離器(別ライン)で水分を除去していたが、現在は新型マシンを導入。
6.仕上がりは上々
約4センチにカットした後のほうれん草。手早く適切な加工処理で、美味しそうな仕上がり。
7.チェックはさらに
バラ凍結に入る前にも(写真には写っていないが)選別チェックするラインが2段階で続く。
8.バラ凍結で
バラ凍結の様子。冷たさを超えて「痛み」を感じる風と冷気の中でパラパラに凍る。