焼きたての味
食パンやロールパンなど一般に見られるものは、約200度で焼き上げて製品化する。このため家庭のオーブントースターを使った場合、トーストにはなっても「焼きたて」のようにはならない。しっとり柔らかな生地の再現にはムリがある。
これにくらべてブラウンサーブロールは、およそ2分で焼きたてパンの風味が手軽に味わえる。そのヒミツは上火約130度・下火約180度の焼き上げと、直後の自然放熱。実はこれが他で真似のしにくいポイントになっている。過去、おなじ方式での製造例はあったものの、現在はいずれも撤退。少なくとも量産品ではコープのブラウンサーブロールが唯一といっても過言ではない。
まず、一度ハマった人をトリコにする口当たりの良さ──それは絶妙な焼き加減による「家庭での加熱の余地」を残した仕上げとともに──そもそも製品が製造段階から非常にやわらかいことを意味する。高温でしっかり焼き上げていない以上、ちょっとしたコトで変形しやすい。
問題はパンを窯で焼く際に使う天板を「一度外して」から、改めてベルトコンベアにのせ、自然放熱する際に起こる。もし、これを強引に機械化しようとすれば、コンベアに移すタイミングで多数が歪んだりヘコんだりすることに。それは採算を圧迫する大きなロスにつながる。
ならば・・・・解決は「人の手」しかない。メーカーでは今日も交代制でせっせと作業にあたっている。手間を惜しまずとはよく聞く表現だが、出荷するパンの個数を想像すれば、このような地道な姿にこそふさわしい気がする。
ならコープ発
1986年のデビュー当時は、ならコープの独自商品だったコープ・ブラウンサーブロール。最近登場したチョコチップをはじめ、現在は5種類がある。産直卵の使用や発酵バターの吟味、種類によってクルミやレーズン、米粉(奈良県産米)など、素材への注力には組合員と共に歩んだ歴史を感じさせる。でも、いちばんたいせつなコト・・・・それは、今日まで各地の生協組合員を納得させるチカラ(=美味しさ)が、この商品に備わっているということだろう。