質の高い便利さ
1988年の大豆缶リリース以来、全国の生協でロングセラーを続けるドライパックシリーズ。当初はその製法からハイバキュームパックと呼ばれ、「料理お手伝い」のキャッチフレーズで供給されていた。それまでの水煮缶とは違って缶の中身が液に浸かっていないため、ドライな状態でパックされている──でも、カラカラに乾燥しているワケではなく、原料がしっとりとしている──そこに大きな特長がある。たとえば大豆缶なら、パラリ、とかるく塩をしただけでも感じるおいしさ。料理の下ごしらえ、手間を省いてくれる質の高い便利さが、口コミとなって大きく広がった理由だ。
組合員の商品学習会でも数多く取り上げられただけあって、日本生協連などでのレシピ提案も豊富。取材当日も鶏団子のスープ、春雨サラダ、大豆とタコの落とし揚げ(掲載している料理写真)など、使い方のヒントをメーカーから提供いただいている。こうした応用力の高さも、衰えを知らないといわれる人気の所以なのだろう。
変化と不変と
ボイルした原料を高真空処理で缶詰にして、さらに高温処理して出荷──大豆、ひじきを含めドライパックシリーズの製造をごく大ざっぱに言うと、その流れはとてもシンプル。実は20年ほど前にも製造現場を訪ねているのだが、くらべてみれば作業員の着衣をはじめ大きな変化が目についた。たとえば缶に中身を投入してから計量〜高真空処理(缶のフタを閉じる)までの間、以前は手作業で缶のフタをのせていた。現在はそれを自動化、缶の中身もほとんど露出しないで済むしくみとなっている。当然と言えばそれまでだけれど、衛生面では着実な進歩がうかがえる。
一方、大豆、ひじきが国産であること・・・・これは以前と何も変わってはいない。日本人が目をほそめて喜ぶおいしさ、風味。
「自分の子どもや孫が食べるんだ」という、つくる側の気持ち。国産品を原料に据えつづけることは、それが不変であることの証なのかもしれない。
ただ、ひじきは国内消費の9割が海外産だといわれ、国産品が少なくなりつつある。その状況は原料価格の高騰にもつながる。私たちの国で生まれたものを、私たちの口へとはこぶために。コープの国産品を、もっと賢く利用してみませんか?