いつもの味
通常、豆乳は水に浸した大豆をすりつぶして煮沸、その後で抽出(この時におからが出る)する。一方、水に浸してすりつぶした大豆から直接豆乳を抽出したものを「生しぼり」と呼ぶ。中国や沖縄では今につづく伝統的なつくり方。豆腐のルーツともいわれている。
国産大豆の生しぼり豆乳を海水から採ったにがりで固めた今回の商品。
昔ながらの製法は旨い豆腐を追い求め、試行錯誤の末にたどり着いた結論だった。以来27年間、メーカーはずっと頑固に「この味」を守っている。クリーミィ、とろけるなど、新しいキャッチフレーズの豆腐が続々と登場した昨今でも、その姿勢はブレない。
「いつもの味を愚直につくりつづける。そんな豆腐屋があってもいいじゃないですか」。
絆
国産大豆100%の豆腐は他にもあるが、この商品はそれだけではない。原料の約70%が北陸産の契約栽培品。地域のエンレイ種に惚れ込んだからだというが、こうした条件をクリアするだけの原料が安定して確保できること───長い年月をかけて産地を訪ね、生産者と交流を重ねた成果だとメーカーは振り返った。今では大豆の生産者が工場見学にやってくる。絆という言葉を意識しながら、そこには顔の見える関係をたいせつにしたいとの想いがある。
「でもね、職人気質の意地ではじめた生しぼり豆腐ですが、最初はなかなか思うように広がらず経営的に苦しかったんです・・・・」
市販にはない味の豆腐を探している───生協からそんな声を聞いたのが25年前。それからしばらく生しぼり豆腐は、まず大阪の生協で人気をあつめた。現在では関西をはじめ、九州など各地の生協組合員に愛用されている。
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珠のような舌触りと、すみきった風味。海水から採ったにがりでコクのある豆乳を固めた豆腐だけがもつ滋味。冷やっこ、味噌汁の実、どんなふうにも手軽に使える「いつもの味」。それは、毎日食べても飽きない美味しさでもある。
※生しぼり製法は豆乳抽出後に加熱しています。