誠実な製造
2001年にデビューして以来、多くの組合員から支持されているコープたまごスープ。現在はコープベーシック商品シリーズで供給されているが、製造や中身は従来どおり。お湯を注ぐだけで花が咲いたように卵がほどける美味しさ─その背景をたどれば、意外な横顔がみえてくる。
通例、このタイプの商品には、コスト面から凍結した液卵を使うことが多い。卵の生産者についても、消費者は知る由もないのが一般的。一方、コープたまごスープの場合は、青森県と岩手県が産地とされ、主力となる(2010年11月現在)青森県・オリエンタルファームでの生産も明らかになっている。
八戸市の養鶏場を訪ねてみると、一般の養鶏農家には見られない大規模な鶏舎の姿。青空に映えるステンレス製の棟からは、ベルトコンベアが仕込まれた送卵路が隣接するGPセンターに直結する。産みたてをすぐさま洗卵・出荷するしくみに感心。地元の割卵工場で液卵にした後は、これも地元の工場で「冷蔵状態のまま」原料となる。
「新鮮な〜を使用」などのキャッチフレーズを私たちは日頃から目にする。でも、よく考えてみると具体的なことは何も知らない場合が多い。今回の商品、読者はどう思われるだろう?
声に応えて
新鮮な卵を原料に、2種類のチキンエキスをブレンドしてつくったスープ。組合員パネルテストを繰り返したその味は、どんな料理にもあわせやすい。そうして卵のおいしさとともに、このスープのうまさを閉じ込めるために選ばれたのがフリーズドライ製法だった。
水は気圧が下がるほど沸点が低くなる(富士山頂では87度で沸騰)。極端に気圧を低くすると0度でも気体に。商品の製造では約1,500分の1気圧を保つ真空乾燥庫に「冷凍したスープ」を入れる。するとスープは凍ったまま水蒸気を出して乾燥する(この現象を昇華と呼ぶ)。氷が溶けずに蒸発することで、スープ部分は穴が空いたスポンジ状になる。そこに熱湯が素早く浸透、アッと言う間にできあがるポイントにもなった。
一般のスーパーマーケットでは、粉末や顆粒タイプが優勢と言われる日本のスープ市場。その中で、生協ではフリーズドライタイプがきわだつ独自の市場を保ち続けている。それにはこの10年あまり、各地の生協でおこなわれた組合員の商品学習活動や試食会がバックボーンとなっている。組合員の声を聞きながら商品普及ができるのは、生協にとってかけがえのない大きな特長のひとつだ。