健康に育つ
全国的に人気のある交配様式─ホワイトコーニッシュ(雄)×ホワイトプリマスロック(雌)─から生まれた健康熟成鶏。その大きな特長に、このタイプの鶏では標準的な53日前後の飼育日数中、休薬期間が21日以上におよぶことがあげられる。抗生物質や合成抗菌剤の法定休薬期間は7日間なので、3倍以上の期間になる。
そのため生産者は薬剤に頼った鶏の健康管理ができない。鶏舎の床にしゃがみこんでは1羽1羽の状態に気を配る農家もあるという。たとえば鶏の飲み水は器に自動給水されるが、その器に汚れはないかを丹念にチェックする・・・・そんな基本作業が、日々の飼育の中でとても大きな意味をもつ。
飼料に肉の弾力性をひきだすヨモギ、肉の旨味を増すための海草類などを添加しているのもポイント。豊富なアミノ酸やミネラル分は鶏自身を健やかに育てると共に、肉質向上が期待できるたいせつな要素。ほかには木酢精製液(コナラを中心とした広葉樹脂由来)を添加して鶏肉特有の匂いを抑えてみる・・・・そんな努力もしているようだ。
徳島・吉野川の清流を望む緑豊かな環境の中で、鶏たちはとても健康に育っている。
熟成する
健康熟成鶏の「熟成」とは何だろう?それは加工法に由来する。通例、処理された鶏は冷水洗浄してすぐに解体する。それに対して空冷冷却庫で「ひと晩寝かせて」から解体作業に入る違いがある。日本では初めての導入例だというこのしくみは、表面の余分な水分を取り除くことで肉質の向上を図っている。
メーカーは、冷却中の熟成により肉質が適度にほぐれ、しっとりやわらかな食感になると説明する。「特にムネ肉は違いがはっきりとお判りいただけると思います。パサつきや水っぽさが少なく、充分にうまみを感じていただけるはず」と力説した上、「冷めても固くなりにくい」とのコメントも付け加えた。それなら今の季節、天ぷらなどの揚げ物や弁当のおかずにも重宝しそうだ。
専用飼料を与え、生産者が丹精込めた肉鶏は、脂肪が少なめでたんぱく質が多く、鶏の匂いも控えめに育つ。その肉をこだわりの製法で精肉加工したコープの健康熟成鶏。クリスマスや迎春の素材に最適な一品だといえるだろう。