驚きの変貌
ミックスキャロットの供給がはじまったのは1981年。当時、「野菜果実飲料」はメジャーなものではなく、その存在感は絶大。「ミッキャロ」の愛称で日本中の生協組合員から親しまれ、供給量はぐんぐんアップ。一時は市場シェアの3割超(!)という異例の業績をあげたとか。
そんな状況が変わりはじめたのは90年代の後半。気がつけば、コープや他メーカーからトマトジュース以外の野菜系飲料がデビュー。2004年頃になると、野菜果実系の飲料市場がドーン!とできあがり、今もそれは続いているものの・・・・実は2003年に一度リニューアルをこころみた我らのミッキャロ、市場拡大のビッグウェーブにのることはなかった。
供給30年の節目でもある今年。度重なる試作品づくりや多数の組合員アンケートを経て、ミッキャロは大きく生まれ変わっている。「もう、他がおいしいとはいわせない」そんな気合いがヒシヒシ伝わる味─透明感があって、のどごしにキレがありフルーティー─に大変身。温州みかんの配合率を変えてオレンジの割合を増やしたり、パインを新たに加えて後口をすっきりさせたりと、工夫をあげればキリがない。
でも、遂に配合率50%となった「野菜」が、やはり気になる。においも気配もない(?)けれど、この商品、どこまで行っても主人公はキャロットなのだから。
基礎力のちがい
近年、にんじん嫌いの子どもが減りつつある。甘味が増して、香りも上品になっているのがその理由。たしかに今のものは美味。ならコープには熊本・肥後農産の産直にんじんがあるけれど、茹でたてホクホクに塩コショウをパラリ、とふるだけで顔がほころんでしまう。
で、思った。「コレ、ジュースにするとどうなんだろう?」さらに。ミッキャロに使っている「黒田五寸人参」をジュースにしたものとくらべたら・・・・
やってみました。
手元にある産直品。ジューサーでしぼって、ふきんで軽くこしたその味は、実にライト。にんじん臭は気にならない性格なので、かなりイケてると感じたものの、「美味しいけど、やはり食べた方がはるかに・・・・」という当然の意見も。そしてミッキャロで使うものをおなじ手順で飲んでみる。実にゆたかなコク、濃度のある甘味。ニオイもあるにはあるけれど、まずはジュースとしての味わいに圧倒される。
国産・黒田五寸人参の適性。それを育む生産者の汗と努力。あらためて思うのは、「しっかりとした基礎」があってこその、今回のリニューアルの成功。もちろん砂糖・香料は使わずに、ネ。