わたしたちの奈良で
西日本で最も多く栽培されているヒノヒカリ(本文中はカタカナ表記名に統一)は、全国でも首位のコシヒカリに次ぐ作付面積を有する(平成18年度)。愛知40号(後の黄金晴)とコシヒカリの交配種で、平成元年6月、宮崎県総合農業試験場からデビューした。奈良県では平成4年1月に栽培推奨品種となり、今では県内水稲作付面積の約70%を占める。
さて、米の旨さにはいくつものポイントがあるけれど、一般に「アミロースとアミロペクチン量」をさすことが多い。どちらも米に含まれる澱粉の種類で、アミロースが少なくアミロペクチンが多いほど粘りが出る。たとえば餅米の澱粉はアミロペクチンのカタマリだ。日頃食べる米(=うるち米)も、低アミロースであるほど粘りがあり、おいしく感じる。
そして栽培では、稲穂がどんどん色づく頃(登熟期)に上手く気温が高くなると低アミロース化するといわれる。もちろん、品種や田の環境(昼夜の寒暖の差、温かい陽光と冷涼な水など)で条件(登熟期の温度の積み重ね=必要な積算温度)は変わるのだろう。ただ、この品種の開発目的が、もとは「九州の普通期水稲にコシヒカリの食味を取り入れること」であったことを思えば、適地適作という言葉の意味─西日本の稲作地帯で、北陸産や東北産に勝るとも劣らない米の美味をムリなく追求できること─に、今さらながらたどりつく。
奈良県の場合、標高200メートル以下の大和平野が栽培に適している。昼夜の寒暖差が大きい盆地に、吉野川分水から流れる水が網の目のようにひろがり、田を潤しながら実りを支える。平群町・広陵町・田原本町をはじめ、秋になれば黄金色にゆれる稲穂のさざめき・・・・それは奈良の町や村とおなじ季節を感じて、私たちとおなじ空の下で育つ、かけがえのない地産地消の風景でもある。
安心をそえて
奈良県産ヒノヒカリには特別栽培米と一般米がある。特別栽培米では、化学肥料(チッ素成分)や化学合成農薬使用回数を、奈良県標準栽培基準の半分以下に削減している。農家では農薬の散布が限られるため、病害虫の発生を防ぐための苦労が多い。
一般米、特別栽培米ともに農家が丹精した米は、2009年にISO9001を認証取得したJAならけんパールライス精米工場で商品となる。日本生協連との度重なる話し合いを経た工場は、金属「検出」をはじめ、小石・紙・もみがらなどの異物対策には余念がない。これもまた、商品の味を支えるもうひとつの横顔だ。
ならコープでは「吉野の森と水を守るための募金」に取り組んでいます。
商品(産直特別栽培米を含む)1キロの利用につき1円を、
ならコープとJAならけんが協同で拠出、奈良県森林組合連合会に引き継ぎます。
募金は吉野の森を育てる植林活動に使用します。
「奈良県産ひのひかり」の利用を高め、ぜひ、みんなで成功させましょう。 |