豊かな田園地帯で
「故郷を思い出す食べ物は?」とたずねて、チキン南蛮と答えるのは宮崎県出身者に多いそうだ。「モモ肉じゃなくてですね、ムネ肉を・・・・」「甘酢とタルタルソースがかかってるのじゃなくてですね、鶏肉を甘酢にちゃんと漬けて・・・・」そんな注釈が入れば、もうカンペキ(?)。どこの家庭でも、それぞれの味付けでこの料理をつくり、子どもたちはそれを母の味として育つという。 野菜や果物と共に、牛肉や地鶏など多彩な名物をそろえる宮崎県。中でも都城は、広大な盆地で農畜産業を営む地域と名高い。端正な霧島の姿を彼方に望む田園地帯─漆黒にひかり、靴底にふかふかとした感触を伝える火山灰地の畑が、真冬になると鮮やかなほうれん草の緑で覆われる─それも近年では冬の風物詩のひとつになっている。 その畑に「特別栽培農産物」の看板を掲げながら、栽培にはげむ自営農場と契約農家がある。肥料は、牛や鶏から生まれる堆肥を約1年かけて仕上げた完熟堆肥。除草作業は、トラクターの後ろで、くるくるとワイヤーがまわって雑草を刈り取る方式。それでもダメなら、およそ50名のおばちゃんたちが腰を90度に曲げて、ひとつひとつを摘み取ってゆく。「私たちは生協のためだけに特化してきた」と言い切るメーカーが管理する畑の数々。澄んだ冬空の下、レンズのむこうでは収穫が最盛期を迎えようとしていた。
想いと風味
宮崎県を中心に、近隣の鹿児島県でも栽培する専用の畑は、およそ130ヘクタール。メーカーの自営農場のほか、47の契約農家が参加する。例年11月から翌年4月にかけて収穫する総量はおよそ2,500トン。そのすべてに「産地で生きる者の想い」が込められているとメーカーは云う。高齢化にともない年々減りゆく農家と国内自給率・・・・豊穣を約束されたかに見えるのどかな風景の影で、生き残りを賭けながら、彼等は生活協同組合に希望を託す。 工場では鮮度の高い原料を迅速かつ丁寧に処理していた。火山灰地で栽培する故か、その洗浄は短いラインだが何段階にも渡っておこなわれ、要所では細かく作業員たちのチェックや検品作業が入る。モタモタしていては鮮度が落ちてしまうとはいえ、約25分から30分以内で冷風式バラ凍結(凍ったまま調理できるのはコレのおかげ)までを完結。素材そのままの風味と食感を残した商品は、パッケージに記載された番号から栽培履歴(農場ごとにつくったカルテに由来)が確認できるようになっている。
まずは良質であること
施肥工場で約1年をかけて仕上げる完熟堆肥で栽培。 それぞれの畑の土壌分析や栽培カルテの実施で、 良質なほうれん草を収穫。
そして安心であること
人手をかけ、工夫した機械を使って除草剤を使わずに育成。 農薬は当地比5割減(使用回数)で、安心なほうれん草を栽培。
食味にこだわること
農場からのとれたてを、約30分で急速バラ凍結に。 その工程では9ヵ所で「仕上がり・チェック」をおこない品質を追求。
1.とれたてを搬入
畑から収穫した「カゴのまま」を工場ラインへ投入するシーン。これから約30分で商品が完成する。
2.序盤での洗浄
投入後、浸水と目視チェックを経ると自動洗浄ラインへと作業がすすむ。でも、これはまだ序の口。
3.大型ローラーでも
自動洗浄後の目視チェックと、3度目の洗浄を経て現れた異物除去ローラー。海草類でも、おなじみのマシン。
4.いよいよボイルへ
スルスルと工程がすすんで、いよいよほうれん草がボイルされてゆく。定期的に作業員がチェックしている。
5.そして冷却へ
ボイルしたものが水の泡をくぐった後、冷却をかねてゆったりと流れてゆく。ここでもチェックが入っているが・・・・
6.さらに綿密な検品
一度かるく水切りした後で、さらに水中を流れながら不良とされる葉が取り除かれている。
7.ようやく脱水作業へ
水中から出た後も目視選別があって、ようやく脱水作業となる。これは脱水直後のほうれん草。
8.最後のバラ凍結
脱水後も選別・チェックがあって・・・・最後に専用の冷凍庫で風力を応用したバラ凍結へ。あとは包装・出荷となる。
都城の白和え
●材料(4人分)
CO・OP 国産カットほうれん草・・・・150g(1/2袋)、木綿豆腐・・・・1丁、 こんにゃく・・・・100g、にんじん・・・・4〜5センチ、とりささみ・・・・2本、 煮汁(だし汁・・・・3/4カップ、うすくちしょうゆ・・・・小さじ2、みりん・・・・小さじ2)、 みそ・・・・大さじ1と1/2、砂糖・すりごま・すりピーナツ・・・・各大さじ1、しょうゆ・・・・小さじ1
●つくり方
おひたし韓国風
CO・OP 国産カットほうれん草・・・・300g(1袋)、えのき茸・・・・1袋、 にんじん・・・・4〜5センチ、とりささみ・・・・2本、 合わせ調味料(ごま油・砂糖・・・・各小さじ2、しょうゆ・・・・小さじ4、 すりごま・・・・大さじ1、おろしにんにく・一味とうがらし・・・・少々)
霧島マフィン
●材料(マフィンカップ10〜15個分)
CO・OP 国産カットほうれん草・・・・150g(1/2袋)、ロースハム・・・・5枚、 プロセスチーズ・・・・60g、卵・・・・2個、砂糖・・・・大さじ1、溶かしバター・・・・50g、 市販のホットケーキミックス・・・・200g、牛乳・・・・60cc