農業と漁業の町
網走市の西方、オホーツク海側にひろくサロマ湖を望む佐呂間町。明治27年に半農半漁での入植がはじまって以来、鉄道が開通した昭和11年頃から人口が増えはじめた。広大なチューリップ園が目を惹く湧別町や北見市とも接する町は、オホーツクの澄み切った風と日本有数の日照時間の中で、カボチャや小麦、ジャガイモなどの農業を生業とする。毎年主催する「かぼちゃまつり」では、近隣から巨大なかぼちゃが登場。過去には重さ389.8キログラムという、とてつもない記録がある。 夏はひときわ夕陽が美しいサロマ湖に目をむければ、海とつながるこの湖を基地にホタテ貝・牡蠣の養殖でにぎわう。特にオホーツク一帯で水揚げされるホタテ貝は、その甘味と締まりのある豊満な肉厚さで人気が高い。
つくり育てる漁業で
オホーツク一帯では海底に稚貝を放流、3〜4年を海ですごして成熟したものを漁獲する「地撒き漁」が一般的。その主旨は「天然資源の枯渇をさけ、天然貝と食味の変わらないものを提供」すること。海に放流してしまった稚貝が散り散りに逃げてしまわないかと心配になるが、通例、さほど遠くへは移動しない。放流した区画によって1年目、2年目、3年目・・・・と区別もあり、漁船は貝が10〜12センチ以上になった区画のみで漁をおこなう。 ちなみに、栄養豊富で海流の移動が少ないサロマ湖は、春の産卵期に卵の密度を高く保てるため多数の稚貝が育つ。まず、5月〜6月に「ちょうちん」と呼ばれる網袋に卵を付着させ、1センチほどに成長すると「ざぶとんカゴ」と呼ばれる編目の容器に約1年おく。「地撒き漁」ではこの1年貝を放流するが、もう1年ポット型になった編目の容器で育てる「耳吊り」や、水深18メートル程度で3年育てる方法もある。 そうしてオホーツクへと放たれ、海底に眠るホタテ貝は「八尺」と呼ばれる巨大な鉄の熊手で漁獲する。船は太いワイヤー付きの八尺を海へ投げ込み、ゆっくりと曳航しながらホタテ貝をツメで掻き起こしてゆく。驚いたホタテ貝は水中に飛び上がりながら、鎖をつないだ長方形の網の中へ。海底には岩場もあり、時折、船にはズシーン、と八尺のぶつかった重い振動が伝わる。 船倉にホタテ貝を満載した船が入港すると、待ちかまえたように大型トラックが次々と横付けされ、クレーンを使った水揚げが慌ただしくはじまる。トラックまるごと計測する巨大な計量器で積荷の量を確認、運転手達は地元の加工場へと次々にハンドルを切ってゆく。
地元で漁獲・地元で加工
サロマ湖を中心に、オホーツク沿岸で水揚げされたものを、 地元の工場で加工・凍結。鮮度抜群。
「つくり育てる」漁業で
1年育てた稚貝をオホーツクの海へ自然放流。 3〜4年後に水揚げされたものは、天然とかわらぬ旨さ。
栄養と美味の両立!!
たんぱく質が豊富で、旨味成分はコハク酸・グルタミン酸・イノシン酸。 ビタミンB2・E・タウリンもたっぷり!!
1.船からトラックへ
ほたて貝を満載した漁船は、「玉かけ」と呼ばれる作業で、網に入った貝を迅速にトラックへ荷下ろしする。
2.採れたてを加工
工場に搬入した活貝は、ズラリと整列した打ち子さん達がすぐさま剥き身にしてゆく。
3.素早さが身上
貝を開き、貝柱だけを取り出す作業。ベテランだと、まるで手品を見るよう。一枚あたり数秒とかからない。
4.まずは洗浄
貝柱は一次洗浄(機械)・目視チェック・二次洗浄の加工へとすすむ。これは、二次洗浄の様子。
5.入念なチェック
洗浄後、水切りまでの間にも不良品などをチェックしてゆく。この作業もスピーディーだ。
6.手作業の凍結準備
洗浄などを終え、いよいよ凍結へ。トンネルフリーザーへは、手作業でひとつずつ丁寧に並べてゆく。
7.真水をくぐって
11分〜15分で凍りついた貝柱は、直後に摂氏5度前後の真水へ。これで「氷の皮膜」をつくる。
8.最後まで目視選別を
凍結後、包装までの間にもこうした目視選別がある。袋詰め後、コンテナで冷凍保管する。
サロマ湖のひみつ
●材料(2〜3人分)
CO・OP ほたて貝柱・・・・150g、大葉・・・・2〜3枚、 スライスチーズ・・・・2〜3枚、小麦粉・パン粉・揚げ油・・・・適宜、 溶き卵・・・・1個、つけ合わせの野菜(サラダ菜・トマトなど)、 塩コショウ・・・・適宜、お好みのソース(ウスターソースやタルタルソース)
●つくり方
夏だ!北海ビアディッシュ
CO・OP ほたて貝柱・・・・150g、塩コショウ・・・・適宜、 オリーブ油(ソテー用)・・・・大さじ1、プチトマト・・・・6個、生ハム・・・・6枚、 オリーブ油・黒コショウ・レモン汁・・・・適宜、バジル・・・・2〜3枚
※お好みで粉チーズをふりかけても。
オホーツクの彩り
●材料(3人分)
CO・OP ほたて貝柱・・・・150g、サーモン(刺身用)・・・・90g、オクラ・・・・3本、 塩・・・・適宜、大葉・・・・3枚、いくら醤油漬け・・・・60g、ごはん・・・・3人前、 ごま・・・・大さじ3、きざみのり・わさび・しょうゆ・・・・適宜
※冷凍ほたて貝柱は半解凍の状態が切りやすい。 寿司ご飯でこの丼をつくると、さらにホタテの甘みが増して最高!!