月の引力が見える町
佐賀県藤津郡太良町は長崎県との県境にちかく、ゆるやかな傾斜とともに有明海へと扇状にひろがる地形をもつ。海辺でおこる潮の満ち引きは訪れた旅人を驚かせるほど大きく、いつしか町は「月の引力が見える」とのキャッチフレーズで呼ばれはじめた。濃厚な旨味と甘味をたたえる竹崎がに(大きなワタリガニ)をはじめ、牡蠣・タイラギ貝・クルマエビなど垂涎の幸が獲れる海を背にすれば、青空に映える標高1,000mにおよぶ山々。付近は今も石垣を積んだ棚田に米が実り、太陽を浴びる山肌には多数の柑橘類が風にそよぐ。 町を流れる多良川と糸岐川の上流には、林野庁から全国「水源の森百選」に選ばれた水源林がある。硬度がたいへん低く、やわらかな天然水は人々の喉を潤し、水田を満たし、そうして今回登場する豚の飲み水となる。有明の海を見渡す地で、名水を使って育てた逸品・・・・「有明名水豚」のネーミングには、そんな想いが込められている。
消費者への約束
豚舎は山頂付近にある。柑橘類の栽培地を見下ろす格好で6棟が建ち、背後には深い森がつづく。ブラインドを開ければ壁がなくなってしまうほど開放的な風の流れと、自由に動き回れる空間の確保に努めた環境。そこで肥育するのは、コツワルド(母)とデュロック(父)の交配種。肉質がきめ細かく良好な食感と旨味をもつ豚・・・・その育成のために、飼料へ3割ほど「パンくず」を配合したことで、さらに美味しく仕立てている。福岡県の某大手製パンメーカーから出る端材・余剰品などをうまくリサイクルした格好で、この豚舎だけに加工・出荷されている専用品。肉のマーブリングスコア(脂肪交雑の値)が高まり、加熱後のなめらかさ・甘味が向上した。 新鮮で良質な水、状態の良い餌、そしてストレスを感じさせない環境は、豚にかぎらず動物飼育の基本・根本といえる。今回登場の商品だけでなく、数年前から豚肉には「ブランド化」の波が高まり、今や全国でいろんなネーミングのものがあふれている。飼料にパンや菓子(ビスケットなど)を利用することも10年ほど前から目立つようになり、目新しいことではない。けれど、美味しさを求めて様々な工夫やアピールがあっても、たいせつなのは基本の部分。その基本に努めながら、有明名水豚には約60日間の完全休薬期間(飼料添加物レベルでゼロ)が設けられている。
「名水豚」の由来
豚舎の「水」は、全国水源の森百選に選ばれた 多良岳水源の森とおなじ水脈の地下水(飲用可)を使用。
きめ細やかな肉質
商品はコツワルド種(母)とデュロック種(父)の交配種を肥育。 たいへんきめ細やかな肉質が大きな特長。
さらに甘味とやわらかさを
飼料にボイラー乾燥・粉砕処理したパンくずを配合。 マーブリングスコアの高い、なめらかさ・甘味を追求。 ※マーブリングスコア=脂肪交雑の値。牛肉でいう「霜降り」のようなもの。
1.6棟の開放豚舎
池上ファームでは、6棟の開放豚舎で約2,700頭前後の豚を肥育。給餌などは自動化されている。
2.過密な肥育をさけて
豚の成長にあわせて柵内での頭数を減らしてゆく。大きくなるにつれ、ゆったり育つ。
3.パン入りの飼料で
飼料には、福岡の某パンメーカーから供給されるパンくずを加工して混ぜ与え、肉に特別な旨味をだす。
4.においの少ない床
床は微生物発酵を利用したおかくず。汚れに応じて新しいものを重ね、その厚さは90センチほどにもなる。
5.肉のカットは島原市で
と畜して枝肉になった豚肉は、島原市の大光食品で部位別にカットする。これは作業場の全景。
6.素早く・丁寧に
糸ノコ・久留米産の切り出し小刀などで緻密かつ迅速に作業がすすむ。肉の流通には、こうした努力の姿もある。
7.脂身も美しく除去
肉のカット・整形は脂身にもおよぶ。除去した部分は、どれもカンナで削ったようで、その手際の良さに驚く。
8.真空パックで
ブロック状に整形した豚肉は、手作業でラッピングした後、真空包装機にかけて出荷する。
ロースのうまさ爆発!
●材料(2人分)
豚ロースブロック・・・・300g、にんにく・・・・1片、塩・・・・少々、しょうが・・・・1片、 ネギ・・・・1/2本、酒・・・・大さじ2、水・・・・適量、だいこん・・・・300g、きゅうり・・・・1本、 トマト(小)・・・・1個、サラダ菜・わかめ・・・・適量、 A(白みそ・・・・大さじ2、酒・酢・水・・・・各大さじ1、砂糖・・・・大さじ1/2、 溶きがらし・・・・小さじ1/2)
●つくり方
※さっぱりした味付けにひそむ、ロースの旨味。心地よい歯触り。こりゃぁばさらか(たくさん)食えるたい!!
がばいうまかぁ丼
豚バラブロック・・・・350g、 A(濃い口醤油・・・・100cc、さしみ醤油・酒・みりん・・・・各50cc、水・・・・100cc、 砂糖・・・・135g、スライスしょうが・・・・4切れ)、 かいわれ大根・刻みのり・・・・適量
※がばい=ものすごく・たいへんの意。撮影後も「がばいウマかよォ〜」と完食。
元気な八宝菜
豚薄切肉・・・・100g、白菜・・・・2枚、にんじん・・・・1/4本、ネギ・・・・1/2本、 しいたけ・・・・4枚、ゆでたけのこ・・・・1/4本、きぬさや・・・・10枚、 しょうが・・・・1/2片、むきえび・・・・80g、油・・・・大さじ2、こしょう・・・・少々 A(しょうが汁・・・・小さじ1/4、酒・・・・小さじ1/2) B(塩・・・・少々、酒・・・・小さじ1/2、油・・・・小さじ1) C(水・・・・大さじ2、中華だし(顆粒)・・・・小さじ1、塩・・・・小さじ1/2、酒・・・・大さじ1と1/2)、 水溶き片栗粉・・・・大さじ2(片栗粉1に対し水2の割合)