みかん山に登ってみる
つづら折りに山頂へとつづく、とても細くて急な道。5分も登れば全身が高度感に包まれる。高所が苦手なせいか、ハンドルを握る手が汗ばむ。切り立った道の端にガードレールはない。もし、対向車が来たら・・・・道幅いっぱいの車(2トントラック)にみかんを山積みして、この道を通る生産者もいる。
歩くようなスピードで、それでも山頂付近にたどりつく。見渡せば「耕して天に至る」光景。見下ろせば鳥が口ばしを開けるように、宇和海にむかってひらける山々の谷間。
石垣をつみ、排水の良い急傾斜地で実る段畑そだちの果実たち。その「味」を育むのは、惜しみなくふりそそぐ太陽。そして、海から吹くやわらかな風。
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生産者に話を聞く
日土の段畑にはもうひとつの太陽がある。それは木々の下に敷くタイベックス・マルチングシート。まるで映画のセットさながら、巨大なレフ板(反射板)のように、みかんの実を下から照らしている。ただ、本来の役目は地中の水分調整。みずみずしさが命のみかんだけれど、日照りがつづくと甘くなる。土の表面を覆うシートは、木が余分な水を吸い上げないためにある。
農薬はやむをえない場合を除いて使わない。だから、夏には青草刈りの作業がある。炎天下の傾斜地で、生産者は這うように草刈り機を操る。また、日土町のある八幡浜市は、蒲鉾・じゃこ天など水産加工品の産地でもあり、肥料には加工場から仕入れた魚肥を使う。この、とっておきの肥料を土に仕込む作業もたやすくはない。他の多くの農産物とおなじように、みかんにも「一生懸命がんばります」と額に汗する生産者たちの苦心がある。
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見えない「気持ち」
一般に、みかんをはじめとする柑橘類は、大型選果機で出荷することが多い。最近では設備も進歩しているのだが、やはり果実が転がったりぶつかることもある。場合によっては「当たり臭」がでたり、香りを失うものもでる。このため、贈答用商品として出荷するいよかんなどは、手選別での出荷が多い。
ならコープの産直みかんは、べつに「贈答用商品」ではない。けれども、生産者はいつも手選別で私たちに商品を届けている。
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海を望む段畑で
宇和海を望む急峻な段畑(だんばた)で、日土のみかんは育ちます。太陽をたっぷり浴びる風通しの良い環境が、柑橘類には欠かせません。 |
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細心の注意で
みかんはとてもデリケートな果実。乱暴に扱えば、香りを失ってしまいます。日土の生産者は、栽培時からみかんを大切に扱います。 |
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段畑の白いシート
みかんの木の下には、タイベックス・マルチと呼ぶ白いシートを敷き詰めています。グン、と美味しいみかんが実るヒミツ兵器?です。 |
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収穫の風景
生産者の方々に、収穫の模様を再現していただきました。この時は、まだみかんが出荷できない青さだったので、みんな、ちょっぴり恥ずかしそうでした。 |
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