徹底した「立て場」の管理
|
一尾ずつ鮮やかに
鰻をひらく加工は、何よりも手早さが身上。十分に泥臭を取り除いた鰻を、一尾ずつ鮮やかにさばいてゆきます。集中力がものをいう現場は、たいへん静かでした。 |
|
白焼きの鰻
じっくり焼き上げることで、鰻の旨みを逃しません。また、蒸し加工では仕入れた鰻の状態によって温度や時間も変えてゆきます。「手間をかけた分」美味しくなるそうです。 |
|
香り立つ焼き上げ
鰻はタレで食べるともいわれますが、この商品はベッタリとタレをつけません。その分、鰻の身がたっぷり!香ばしさも際だちます。(※写真はカットタイプ) |
|
清潔な包装作業
焼き上げた商品は、ご覧のようなラインで丁寧に包装してゆきます。蒸し・焼きの現場とは完全に隔てられ、清掃の行き届いた環境で作業します。 |
|
一般に、鰻は入荷してすぐに加工しない。大きな丸い桶(底はザル状)でしばらく保管する。どこの現場へ行っても、たくさんの桶を積み上げ、上から水を注いで泥を吐かせる光景を見るはずだ。これを「立て場」と呼ぶ。さばいたり焼いたりするのは泥臭が抜けてからだ。
においが十分に抜けていない鰻は、ともすれば口にした箸をとめてしまう。だが、この商品にはこうしたクレームがほとんどない。2日、3日と立て場で清めた鰻。ここでは試食して満足しなければ1週間でも保管をつづける。さすがに7日以上もたつと鰻がやせてしまう。そこでいったん加工はするが、できた蒲焼きは「鰻の仕入れ先」に返品。商品化はしない。この徹底したこだわりが、ひとすじの黒い魚体から芳醇な味わいだけを残している。
●
蒸すこと・焼くことの極意
関東風の蒲焼きが全盛の今、蒸し加工は味を大きく左右するポイント。通例、100度で5分と高温・短時間に終わることが多い中で、この商品は温度を90度前後に下げ、15分から20分じっくり蒸しを入れる。高温で鰻の味が飛んでしまわないように・・・・そこには仕入れた鰻の状態によって、日々、温度や時間を変えてゆく手間もあわせもつ。
焼き加工にもひと工夫がある。
まずはガス火焼き加工。1度目のタレに浸けてから2度目に浸けるまでの間隔が長い。他社の2倍くらいはあるという。絶妙な蒸し加工とあわせて、しっかり焼き込んだ鰻は香ばしさもひとしおだ。ただ、ベッタリとタレがつかない蒲焼きは「タレで重量がかせげない」ぶん、メーカーは損かもしれない。
案内数は少ないが、炭火焼きタイプは「蒸し」を入れず生から炭火で焼きあげる。地焼きとも呼ばれる、むかしながらの関西風だ。煌々とおこる炭火。したたる脂。立ちのぼる煙が鰻に「うまい香り」をつけてゆく。
やわらかさが身上のガス火焼き。もともと関西で親しまれてきた、蒸しを入れない炭火焼き。消費者の嗜好にかなうそれぞれの味が、鰻を知り尽くした加工と技に生きている。
●
いつでも美味しいものを
専門店とおなじように、鰻の仕入れ先(産地・養鰻業者)は幅ひろい。その年によって何処からいいものが現れるのかは、まさにその時々。国内産にこだわるものの、産地を限定せずに「うまいもの」の仕入れに専念する。問われるのは安定してよいものを供給できる力。いいものがあるけれど数量限定、売り切れ御免は通らない。たいせつなことは「いつでも美味しいものを」である。
|