オフィス書類が中心
昨年4月に工場竣工をむかえた(株)リバース。真新しい設備環境で、コープのトイレットペーパーが製造されている。まずは原料古紙の内容をたしかめた。
興味をひいたのは「機密書類」の回収。官公庁や企業が焼却してきた機密文書を引き受け、トイレットペーパーとして再利用を促すクローズドリサイクルだ。文書の保管は施錠によりセキュリティを確保、処理には立ち会いやインターネットを通しての監視までできる。古紙の約60%は、こうした書類や帳票類など、オフィス関連から排出される模造紙類が占めている。残り約40%は回収された牛乳パック、紙コップやビニールケント紙などが原料になる。
受け入れる紙の質が安定しているように思えるため、製造は容易な気もする。しかし、製造ラインに立ち入って、そんな想像は一変した。
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異物との闘い
製造は原料古紙をグズグズに砕くことからはじまる。その後、12時間をかけて水分をふくませ、さらに古紙をやわらかくする。ここから3段階にわけての異物除去がおこなわれるが・・・・
まず、金属類を2回に分けて取り去る作業。バインダーの金具やクリップなど、大きな金属片がカゴ一杯に溜まってゆく。
つぎに3ミリ大のスクリーンで、ラミネートやプラスチック類を分離。牛乳パックから出てくるカス(来春には固形燃料として利用予定)もこの段階で取り除く。
さらに0.2ミリ大のスクリーンで2回、0.15ミリ大のスクリーンで1回。こうした工程の中で、崩れた古紙の塊が、だんだん紙粘土のようにきめ細かくなってゆく。色もうすくなり、ごみの粒も最後はバニラビーンズのように小さくなって見えなくなってしまう。
このあとは空気の泡を使ってインク成分の除去。界面活性剤や塩素系漂白剤は使わない。パイプを入れ、ブクブクと泡立った複数の水槽を移動するだけ。これを脱水・洗浄機にかければ、ようやく抄紙(紙すき)してロールの誕生だ。ただ、この段階で現れるのは、重さ1,750キログラム・長さ39,000メートルという、途方もない大きさのトイレットペーパー。それを製品の直径・大きさに巻き直して裁断すると商品ができあがる。
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品質の高さ
トイレットペーパーの包材、それも裏面をじっと見つめる人はすくないだろう。しかし、ワクで囲まれた表示にすこし注目してほしい。
たとえばトイレットロール(シングル)の場合、坪量という項目には18.0g/平方メートルとある。これは、1平方メートルあたりの紙の重さが18gあることを示す。実際には19.5g/平方メートル程度の値になるよう製造、やわらかさと使いやすさを追求しているそうだ。ちなみにこの紙の重さ(=厚み)は、製造時に紙を引っ張ることで調整する。引っ張り率が高いほど紙は薄くなり、固くなるしくみだ。ほぐれやすさの項目も記載は100秒以内。これも実際の数値は20〜30秒以内だという。
アメリカの基準であった114ミリ幅の規格を9ミリ縮めて省資源を図ったり(イタリアは100ミリ)、形状はそのままで長巻きを達成(ワンタッチコアノン)するなど、コープのトイレットペーパーにはさまざまな工夫が込められている。
何よりも「古紙再生品だから・・・・」というネガティブさを払拭した品質に拍手をおくりたい。
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