それぞれの背景
コープきんきが新たにリリースする今回の商品、実はすでに実績がある。「生しぼり絹豆腐」は愛知県知立市・(株)マルツネ製。これまでは、おおさかパルコープで支持されてきたアイテムだ。「にがり充てんとうふ」は徳島県鳴門市・さとの雪食品(株)で製造。コープしが・京都生活協同組合で利用されてきた。「かため絹ごし」は奈良県大淀町・(株)山食が製造元で、こちらはならコープと大阪いずみ市民生活協同組合の商品になる。
いずれも、もとは各生協のプライベートブランド品。それぞれの地域の組合員からは、これまでに高い評価があがっている。そうした商品が、一部リニューアルも受けながら一堂に集結する。
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それぞれの個性
豆腐の製造では、すりつぶした大豆を加熱した後、豆乳をしぼるのが一般的だ。「生しぼり絹豆腐」は、中国や沖縄で古くから伝わる「生しぼり」の技法をもとに製造。すりつぶした丸大豆は加熱せず、生のまましぼりあげるのが特徴だ。甘味と旨味、コクを引き出すとともに、これまでにない口あたりのよさを実現した。冷奴や湯豆腐はもちろん、葛もちや団子づくりの材料に使える品質を備えている。
「にがり充てんとうふ」では、豆乳をかためる「にがりのひとしずく」にこだわった製造に特徴がある。国産大豆にはいくつかの品種があり、また、おなじ品種でも栽培状況によって質・内容は微妙にかわる。このため製造現場では日々「にがり滴定検査」をおこない、安定した美味しさを追求。また、すりつぶした大豆から豆乳をしぼるまでの過程で「熟成加熱ライン」を設備、国産大豆の風味・旨味を生かしている。しっかりした味わいは、それぞれの世代に合わせて幅広く使える品質を備える。
大豆をすりつぶしてできる生呉(なまご・豆乳の素)の煮方を独自に調整、濃さを一定に保ちながら粘りのない、さらりとした豆乳で製造されるのが「かため絹ごし」だ。豆乳を送りだすラインには、らせん状の流れを与えて「にがり」を巧みに注入。きりり、と引き締まった絹ごし豆腐づくりに成功した。いろんな型を使って見た目のカタチを楽しむなど、その品質は調理のバリエーションを豊かにしてくれるだろう。
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共通の「こだわり」
もとが生協商品だっただけに、各商品は共通のこだわりをもつ。まず、製造時に消泡剤を使っていない。豆乳をかためる際には「にがり」だけを使う。
最も大きなポイントは国産大豆100%であることだ。現在、国内で収穫される大豆は不作の影響でずっと高騰をつづけている。豆腐製造もその煽りをうけ、国産大豆の使用比率が高まるほど、商品価格も高値になるのが現状だ。
しかし、これまで他の生協では国産大豆60%だった「にがり充てんとうふ」の使用比率を引き上げてまで、今回は国産大豆100%にこだわった。もちろん、一般市況とくらべても注目に値する価格を維持している。
ひとつの生協では実現が困難だったかもしれない供給価。これまではその生協でしか利用できなかった商品の普及。近畿7生協があつまり、利用結集をはかったことで実現したメリットは大きい。
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