ほかにないもの
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ひとつずつ丹念に
入荷した玉ねぎの皮むき作業。玉ねぎの香気で眼がシミル環境の中ですが、ベテランになると「馴れてくる」そうです。ところで、このオレンジ色のチューブは何でしょう? |
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包丁はエアガン付き
包丁の取っ手はエアガンのようになっていて、空気を強く噴射、皮を飛ばすようになっています。チューブは空気を送るためのものだったのですね。 |
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澄んだ水で
山の麓にたつ工場の地下は、とてもよい水が出るのだそうです。その水を使って玉ねぎなどを洗浄しています。 |
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旨味たっぷりに
こだわった素材、こだわった加工で仕上げた各材料を調合するタンクです。清潔な環境に好感が持てました。 |
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この商品が生まれたのは1980年代。きっかけは組合員(コープおおいた)の声。やがて九州でひろがり、1994年から全国の生協で利用がはじまった。今も生協新規加入時のプレゼントや人気商品ランキングにその名をみる一本。地域を問わず多くの心を惹きつけた理由がそこにある。
商品の白眉ともいえる玉ねぎとにんにくは、どちらも国産。特に玉ねぎは北海道・佐賀県産を収穫時期にあわせて調達する。人の手で皮をむき、人の目で品質をたしかめる。山の麓から湧きでる地下水で洗ってゆく。玉ねぎのみずみずしさには、おいしく食べさせるための手間と人手がかかっている。
和風味のベースとなる醤油は、もろみを絞っただけの生揚げ醤油(生醤油)。加熱処理をしないことで、もろみの旨味と香りが生きている。そこに醸造酢と砂糖、食塩をあわせて味つけを終えた。調味料(アミノ酸)や甘味料(アセスルファムK・ステビアなど)は使わない。また、増粘剤(キサンタンガムなど)を添加せずに酢と油がとけあう自然なとろみを尊重する。
生揚げ醤油の繊細な味。素朴ともいえる味の構成。それが、たっぷりとすりおろされた玉ねぎ・にんにくと出逢って花ひらく。赤ピーマンやしいたけ、しょうががひかえめに味の深みを増す。
製造は大分県の老舗味噌・醤油メーカー。九州では頂点に立つフンドーキン醤油(株)は、野上弥生子(故人・作家)の生家であることでも知られる。醤油づくりには一家言あるメーカーが和風にこだわって造りあげた一品。その知恵と工夫が、ほかにはない何かを多くの人々に感じさせた。
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野菜を超えた用途
ドレッシングは、もちろん野菜のためにある。ただ、意外な懐の深さをみせてくれるのが、この商品の特徴でもある。
掲載している料理の中にも、無理に考え出したと映っても仕方のない一品がある。ただ、舌の上にのせてみると、まるでこの料理のためにあるのでは?と思わせるのも事実だ。一般に和風系でよく売れているドレッシングは、油の分量が50%程度あるものが大半だが、この商品は25%しかない。また、醤油のピュアな旨さが伝わる、雑味の少なさが原料野菜の特徴をうまく生かしている。こうしたことが「他にも使える」もうひとつの顔を与える結果になったのかもしれない。
手羽先のドレッシング煮はもちろん、炊き込みご飯は騙されたと思ってぜひチャレンジを。さて、黙って食べさせて見破る人は何人いるだろう?
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