憲法改定の動きが活発化しています。憲法が変わると、私たちのくらしは良くも悪しくも変わってくる可能性があります。憲法を改定するかどうかは国民投票で決まります。国民投票は項目ごとに賛否が問われ、有効投票数の過半数で決まります。私たちは、項目の内容を理解することが大事です。「内容がよくわからないから投票に行かない」という、いわゆる棄権や白票は、有効投票にはならず、意思表示したことにはなりません。極端なことを言えば、投票者が100人でも改憲項目に賛成51人なら改憲されるということです。
 よって、国民投票が実施される際には、一人ひとりが考え判断できるように力をつけておくことが必要です。2018年度、ならコープでは「まずは憲法を知ることから始めよう」と、11ヵ所で「憲法カフェ」を開き、子どもから大人まで世代を問わず、参加しやすく学べる場を設けました。

 

一人ひとりの判断で決まる憲法改定~知ろう、考えよう、憲法のこと~ 宮尾耕二弁護士(奈良県弁護士会所属)
一人ひとりの判断で決まる憲法改定~知ろう、考えよう、憲法のこと~

「わかりやすい憲法学習会~知ろう、考えよう、憲法のこと~」を開催(1/26
 1月26日(土)、昨年3月の自民党大会で報告された「改憲4項目」の中の「第9条の改定素案 自衛隊明記」についての憲法学習会を奈良県文化会館会議室で開催しました。講師の宮尾耕二弁護士(奈良県弁護士会所属)から、この項目の何が問題なのかを、わかりやすく解説いただきました。これは、現在の憲法第9条第1項、第2項をそのまま維持した上で新たに「自衛隊」を明記した「第9条の2」を加える条文案(下記参照)です。自衛隊については、2014年7月の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定、2015年9月の安全保障法制の成立によって、その性格が根本的に変わりました。
 宮尾氏は、自衛隊明記案は「必要な自衛の措置」としての武力行使の限界を憲法に定めていないため、その判断が内閣または国会に委ねられることになっている。つまり、この条文によって自衛隊の中身(任務)は内閣と国会に白紙委任することであり、“憲法的制約なき軍事的実力の誕生”となると指摘されました。
 そして、「みなさんが国民投票する際には、単に憲法に自衛隊明記が賛成か反対かではなく、“自衛隊明記がなぜいけないのか”を条文をよく読んで考えてほしい」と話されました。
 憲法は、全ての国民を個人として尊重し、そのために国家権力を制限する法規範です。私たちを守る憲法をどのようにするか、関心を持って動きを見ていきましょう。

現在の日本国憲法 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。

○自民党「改憲4項目」条文素案(2018年3月)
第9条の2
 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者をする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。